Jaya

世界は恐怖する 死の灰の正体のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

放射線に関する実際の実験の様子をメインにした記録映画。扇情的なものかと思いきや、かなり科学的で冷静な内容。

まずは土壌や大気中の放射性物質の定量の様子、さらに各種動物実験の様子。当時の実験の様子を見れたのが印象的。数十リットルはある雨水を煮沸して濃縮とは、気が遠くなりそう。当時の測定器でどうやって核種を同定したのだろう。

実験を通して、世界の核実験の日本への影響と、放射性物質による催奇性が示されます。そして広島の被爆者の子における畸形のデータが示され、実際に障碍を持った子の親のインタビュー。個々人の場合の因果関係は推定に留まらざるを得ないため、明らかに啓発のメッセージを込めたもの。当時の危機感が十分に伝わるものでした。

環境の放射性物質量のグラフの横軸の上限が2020年になっていたのには、複雑な気持ちになりました。地上核実験は実際になくなり、ここでの危惧の通りにはならなかったため、啓発の意味はあったとも言えます。

不気味さや得体の知れなさを表現する撮影でしたが、啓蒙的なドキュメンタリーとしては、かくあるべきかなと感じる作品でした。
Jaya

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