神戸典

ツナグの神戸典のレビュー・感想・評価

ツナグ(2012年製作の映画)
5.0
三人の依頼人とツナグを受け継ぐ歩美の心の成長を描いた作品。

歩美はツナグの見習いとして、ツナグ側と一般人側のどちらの考えも感じる事ができるというのがこの作品を単なる綺麗事として終わらせない方法になっている。
ツナグで逢うということは亡くなった人が生きている人のこれからの人生として使われる。言い方を悪くするとそう捉えることもできる。また、亡くなった人に逢うこと自体が非人道的で、亡くなった人を冒涜しているとも歩美は話している。
しかし、歩美のそばには目には見えなくても両親がいつも見守ってくれている。
生きている人はそうした亡くなった人に支えられて今を生きている。
生きている人はどんなにわがままでも、苦しくても生きる以外に道はない。
生きているからこそできること、目を向けることで先祖や亡き友や両親を忘れずに共に生きて行く事ができるのではないだろうか。

松坂桃李の最後に優しい言葉で祖母の心を軽くするシーンがとても素晴らしく、BGMもそっと寄り添ってくれるような優しい音色で感動を生んでいる。
神戸典

神戸典