真っ黒こげ太郎

少林寺の真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

少林寺(1982年製作の映画)
4.2
肉食っていいのか!?→御仏の慈悲があるからヘーキヘーキ!

殺生はいかんのじゃ!?→御仏のお慈悲で極楽(あの世)へ送るからヘーキヘーキ!

…いいのかそれで。




戦乱に揺れる中国の隋の時代。
圧政を強いる王将軍によって父を殺され、自身も重傷を負った小虎(ショウホ)。
少林寺に流れ着いた小虎は僧達の手厚い看護によってたちまち元気になるのだった。

小虎は父の仇を討つための少林武術を僧となり修行を積むことを決意…するが、思うように修行できず苛立ちを募らせる小虎はアッサリ出て行ってしまう。
そのまま王将軍の元にカチ込むが仇討ちは失敗。
己の未熟さを猛省した小虎は少林寺に戻り、心を入れ変えて修練に励むのだった。

そんなある日、小虎は王将軍に追われる一人の男を助ける。
彼は李といい、王将軍と敵対する唐の将軍だった。

少林寺一同で李将軍を助けた事から、王将軍は少林寺を襲撃!!!
果たして少林寺の運命や如何に…。




中国武術の代表格として名高い少林寺を舞台にした、カンフー映画の代表作。
主演は今作がデビュー作となったジェット・リーことリー・リンチェイさん。(当時17~18歳!!!)
更にユエ・ハイさんやフー・チェン・チャンさん等多くの武術家が出演してます。
(自分はジェット・リーさんしか知らなかったですが…。)


偶には真面目なカンフー物を…という事で、ジェット・リーさんのデビュー作となった本作にしてカンフー映画の一大エポックメイキングとなった本作を始めて鑑賞。


んで今作、少林寺の僧侶を描いている上に、カンフー映画の代名詞とされてる作品なのでさぞ偉大で重厚な名作なのだろうな…と思っていたのですが、これまた物凄い大雑把な映画だった!!!
ってかこんな本作が少林映画の代表作でええんか!?

普段、こういう僧侶のお話となると「殺生はよくない!」「お肉やお酒はダメ」とかいうお話になりがちで、本作も最初はお偉い僧侶さん方が同じような事を言っているのだが「人助けの為なら仕方がない!」「多少の息抜きも必要!心に仏があれば良し!」「悪党を極楽へ送るためだ!」という感じで、皆戒律をそこまで重視してなかったりする。
主人公も何だかんだで復讐まっしぐらだし、若い僧侶どころか武術の師匠さえも戒律はあまり重視しておらず、一番偉いお坊さんも全て御仏の慈悲に丸投げ。w
終いには「悪党を殺してまえ!」と叫ぶ偉い僧侶まで出てくる始末、それでいいのか少林寺!?www

お話も香港映画の常とは言えかなり行き当たりばったりで、主人公がうっかりヒロインの飼い犬を殺してしまい(!?)申し訳なくなって埋葬しようとしたら勿体なくなって(!?!?)焼いて僧の皆さんと食べてしまったり、ヒロインの父親である武術の師匠も「私も食べちゃったから仕方ない!」と割り切っちゃったりしちゃう。(駄目でしょ!!!)
主人公も少林寺に入門したにも拘わらず復讐まっしぐらで、割と迷惑掛けまくってる。
その後復讐に失敗した後は真面目に鍛錬するようになったが、そこで仇敵と対立している将軍を助けた所為で僧の死人が出まくる!!!
最終的には復讐を果たして丸く収まったけど、主人公かなりの疫病神じゃないのか?w


そんなこんなで、予想以上に大雑把で行き当たりばったりなお話でビックリ。w
香港映画はその場で脚本を書くスタイルだからしょうがないけどさ、仮にも僧侶さんを描くお話なのに、こんな戒律がガバガバな内容でいいのか!?

そんな訳でお話は予想とはかな~り違ってたのですが、ここまで戒律をド忘れしていると逆に愉快だったりする。w
正直、この手のアクションでドラマがガバガバ過ぎると話にノレなかったりするのだが、ここまで戒律を投げ捨てたヤケクソに徹するとネタとして逆に面白い!!!!w
主要人物の僧侶達がヤケクソ気味にキレた台詞を放つたびに「次は何処まで戒律無視な台詞が飛び出すんだろう」と逆にワクワクしてしまった。w


無論、カンフーアクションは前評価に違わぬ素晴らしさ。
リーさんのしなやかな演武に中盤の大バトル、後半とクライマックスの大乱闘等、アクションの見どころ満載。
カンフーアクションに棒術に剣術、酔拳にカマキリ拳等、格闘アクションのバリエーションも豊富。
主演のリー・リンチェイさんを筆頭に、役者は皆モノホンの格闘家を起用してるので敵味方問わずキレキレに動きまくり!!!!
キレのあるアクションの連続だけでも今作は見る価値ありですぜ。



そんなこんなで、話的にはアレな個所も多いけど、戒律をド忘れしまくるぶっ飛んだ少林寺の僧達とキレのあるアクションの連続が楽しい一本でした。
初々しいジェット・リーさん目当てでも十分価値あるし、カンフーアクション映画としても十分見ごたえ抜群です。

ぱっと見だとかなりお堅いお話に思うかもしれんけど、意外とそうでもないから気楽に見てみて。
笑えるし。w