真っ黒こげ太郎

ピラニアの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

ピラニア(1978年製作の映画)
4.5
ついに河に入った!(主人公2人の所為で)

もう、誰も逃げられない!(主人公2人(ry



山奥でハイキング中のカップルが突如行方不明になった。
女性捜査官のマギーは、地元に住む酔いどれガイドのグローガンを(無理やり)雇って、アメリカ軍の施設へ向かう。
施設内にあるプールが怪しいので水を抜くが、そのプールの中にはアメリカ軍によって品種改良された、殺人ピラニアの群れが居たのだ!!!

河に解き放たれたピラニアは殺戮を繰り返しながら、子供達がいる下流のキャンプ場に迫るのだった…。



軍によって改良された肉食魚ピラニアの恐怖を描いた、モンスターパニック映画。
「ジョーズ」の大ヒットを受けて製作された生物パニック映画の一つ。

監督は「ハウリング」「グレムリン」「スモール・ソルジャーズ」等のホラーやコメディ映画で知られる、ジョー・ダンテ氏。
この頃はB級映画の帝王、ロジャー・コーマン氏の元で製作された模様。

何となくAmazonプライムを彷徨っていたら、もうじき配信終了の欄に今作を発見!!!
もうじきって言うか、今日配信終わるじゃねぇか!!!w
アレクサンドル・アジャ監督のリメイク版は大好きだけど、そういえばオリジナル版はレビューしてねぇな~と思い、緊急鑑賞。
(以前見た筈なんだけど…全く記憶にないってか見てた事も忘れてた(白目))


自分はアジャ監督のリメイク版を先に見てその印象が強いので、そちらと比べてのレビューとなってしまい恐縮だが、今作はリメイク版に比べるとかなり真面目かつ正統派なモンパニ映画だ。
…というより、この大真面目映画をアジャさんはよくあんなはっちゃけたリメイクにできたなぁ、と思った。w


本作は「ジョーズ」の後追い作品という事で、物語自体は王道なモンスターパニック映画の王道展開をなぞっている。
モンスターの正体が軍の生物兵器だったり、軍人が秘密を隠ぺいしようとしたり、町のお偉方やお巡りさんが警告を聞かなかったり…。
そんな感じで、この手の映画でお約束な展開がズラリ。

まぁ、「ジョーズ」の便乗作と言ってしまえばそうなんだが、そこら辺は後にB級ホラーエンタメを手掛けるジョー・ダンテ監督や凄腕のSFXアーティストの手腕も相まって、王道な内容をストレートに楽しめる良作パニック映画に仕上がっている。

お話は上記の通りの王道展開だが、話はテンポは良く進むし一定の緊張感もしっかり感じらえるので飽きさせない。
ピラニアを追いかけて食い止める展開もスリリングに描かれるし、見せ場となるモンスターの襲来も、特殊メイクや大量の食われ役のお陰で見ごたえバッチリ。
ピラニアの捕食シーンは水中内で喰われる為スプラッター度合いは低めだが、人肉が食いちぎられる場面や傷のメイクは痛々しい。
足を食い尽くされた老人や顔面を喰われた水死体等、特殊メイクの残酷な見せ場も豊富。
リメイク版には劣るものの、残酷度数は中々のモノ。
(これに関してはリメイク版が突き抜けすぎている、とも言うが。w)

ちなみに序盤の施設のパートで謎の歩くお魚が出てくるのだが、ありゃ一体なんだろうか。w
コミカルな動きがストップモーションで描かれており、出番は序盤だけしかない(本筋に全く絡まない)が、妙に印象に残った。


一方、リメイク版ではおバカなカラッとしたノリが印象的だったが、こちらは徹底してシリアスなノリ。

リメイク版ではおバカなティーンエイジャー連中がピラニアに踊り食いされたが、本作で踊り食いされるのは「温和な老人」や「ごく普通の子供連れの父親」、「幼い子供たち」「優しい先生」といった善人ばかりだから始末が悪い。
クライマックスではリゾート地に来た人々も襲われるが、その惨劇もシリアスな物として描いており、事件解決後も悲惨な空気が漂う。

クライマックスは主人公が瀕死になりながらもどうにかピラニアを倒すが、目も当てられない位ズタボロになる。
当然、モンパニ特有の「全滅したかに見えて実は…」なラストなので最後にも不安の種を遺す。


って事で、真面目なモンスターパニック映画として見ごたえ抜群な本作だが、モンスターが野に放たれたのが主人公達の所為なので、そこら辺が引っかかってしまうのが難点。
一応ピラニアを作った博士が詰め寄られた時に「お前らが放流した所為じゃないか!」と博士に言い返されてるし、その後は責任をもってピラニア騒動を解決しようとしてるが、あのラストを見るにその責務は果たされてないぞ!!!
そう考えると、リメイクでバカ映画にして本作の登場人物のおバカっぷりを引き継ぎつつギャグに昇華したアジャ監督の判断は正しかったのかもしれないね。w


何はともあれ、難点はあれどモンスターパニックとして良く出来た逸品なので、リメイク版と合わせてどうぞ。
リメイク版を見て気に入った未見の方も、作風の違い等を楽しめると思うので是非!!!