しおえもんGoGo

悪魔を見たのしおえもんGoGoのネタバレレビュー・内容・結末

悪魔を見た(2010年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

ちょっと友人には勧められない映画。とにかくエグくて途中ちょっと薄目で鑑賞。さすが韓国映画。

犯人のチェ・ミンシクが本当にいい演技をしていて、この悪びれないサイコパスっぷりが怖いとか嫌いを超えて、言葉の通じない動物を見ているかのよう。だからこそ最後に絶対に勝てないという言葉がものすごく説得力を持ってくる。痛めつけようが、何をしようが、彼には絶対に勝てない。

イ・ビョンホンも無表情の合間合間に見せる苦し気な表情が良かった。

彼も悪魔になっていくけど、でも彼の悪魔ぶりはキャッチ&リリース方式の拷問そのものじゃなくて、リリースしてるところではないか。
女生徒が襲われた時点でリリースすれば被害者が出ることは明らかなのに、イビョンホンは気にしていない。
女生徒の時はまだ間に合わなかった可能性もあるけれど、看護師が被害に遭っている時は慌てる様子もなくしばらく様子を聞いてさえいる。
義父が被害に遭って初めてショックを受けていたけど、その前の人達もあんたのせいやで。

ただ薬局の店主が殺された時は助けようとしているし、拷問後に被害女性にどう対応したかが描かれていないので、見ようによっては助けようとして殺害は防いだが間に合わず性被害は防げなかった と見えない事もない。
だから被害女性を見捨てるシーンを一個入れるとか、復讐にのめり込むあまり他の人の被害はどうでも良くなっているという事をはっきり描いて欲しかったかも。

チェ・ミンシクは映画史に残るほどの悪辣さで、イビョンホンの復讐をえぐいと思いつつもっとやれと思ってしまう。最後も一息に終わらせるのではなく、もっとじっくりコトコト苦しめてやりたいと願ってしまう。この映画を最後まで見て楽しんだという事実が「お前も一緒だろ」と突き付けてくる作品だった。

ところで野に放つというなら初回のリリース時に二度と性犯罪出来ないようにちょん切ってしまえばよかったのに。イビョンホンの立場が女性だったら間違いなくそうしてると思う。

終始暗く緊迫した雰囲気の中、サイコパスが乗り込んだタクシーがサイコパスの運転する車だったり、サイコパスの手に刺さったアイスピックの柄がスポーンと抜けたり(効果音付き)、絶妙に笑いを入れてくるところもさすが韓国映画。
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