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ザ・ファイターのkuuのレビュー・感想・評価

ザ・ファイター(2010年製作の映画)
3.9
『ザ・ファイター』
原題The Fighter.
映倫区分PG12.
製作年2011年。上映時間115分。

デビッド・O・ラッセル監督が、マーク・ウォールバーグとクリスチャン・ベールを主演に迎え、名ボクサー、ミッキー・ウォードと彼の異父兄ディッキー・エクランドの絆を描いた実録ドラマ。
米ボクシング界のスター、シュガー・レイ・レナードと拳を交わしたことのあるディッキー(ベール)は街の英雄だったが、戦いに敗れたことから麻薬に手を染め、投獄される。
そんな兄の陰でミッキー(ウォールバーグ)は早くからアマチュアボクサーとして実績を積み、頭角を現すが。。。

文語体やと殴り合いとか乱打戦とかが良いのかもしれへんけど、今作品と関西人には
特に口語文なら
どつき合い
ちゅう言葉がしっくりくるボクシング映画作品がある。
21世紀最高のどつき合いは選ぶんは難しいけど、2002年5月に行われたアルトゥーロ・ガッティ🆚ミッキー・ウォードの一戦も一つに数えれると思う。個人的には。
ふたりは3戦した。
1勝1敗の両者が雌雄を決する3戦目のことをラバーマッチなんて呼ぶけど、 そこまでもつれるケースはあんまないかな。
古くはモハメド・アリ🆚ジョー・ブレイジャー戦かな。
近ごろやと、マニー・パッキャオ🆚エリック・モラレス戦ってとこかな。
ガッティ🆚ウォードは、2002年5月の第1戦が一番なんて云われてるけど、小生も激しく同意。
スーパーライト級のノンタイトル戦がこんなに盛り上がることってのはめったにない。
ガッティが30歳で、ウォードが36歳。 どちらもボクサーとしては高齢やけど、正面切っての打ち合いを好む点で手が合った。
前者がダンシング・ファイター(ボクサーの印象的なフットワークを称えて表す表現。逆に、過剰なホールディングが続く場合に批判的に使う場合もある。)で、後者がブル・ファイターと云う違いはあるんやけど。
いままでの試合の映像はYouTubeで見ることができますよ。
逆転に次ぐ逆転の好勝負で眼が離せないし、だれる局面は皆無で、ボクシング雑誌のリング誌が年間最高試合に選んだのも納得がいきます。
余談が過ぎましたが。
そのウォードを主人公に選んだ作品が『ザ・ファイター』です。
ただ、ガッティとの因縁試合は出てこないのが残念。
それ以前の、若かった彼が周囲に苦しめられていた時代が描かれてます。
舞台は、1993年のマサチ ユーセッツ州ローウェル。
米国の産業革命はこの土地からはじまったと云われてます。
ミッキー(マーク・ウォールバーグ)は20代後半の中堅ボクサー。
ただ、1990年から 96年にかけて4連敗を喫したため、かなり長いプランクがある。
現在は再起を賭けてトレーニ ング中だ。
ミッキーのトレーナーは異父兄のディッキー・エクランド(クリスチャン・ベール)。
マネジャーは母ちゃんのアリス(メリッサ・レオ)。
父のジョージもセコンドにつくから、家族経営っすね。
ところが、兄ちゃんと母ちゃんに問題が多くて、ディッキーは、かつて天才シュガー・レイ・レナードに挑戦したこともあるが、現在はクラック中毒。 母ちゃんはアルアル長男を溺愛し、 次男ともども自分の所有物と思い込んどる。
となるとミッキーは、伸ばせる素質も伸ばすことができひん。
そんな彼の前に、シャーリーン(エイミー・アダムス)という気の強い娘が現れ、シャー リーンはモンスター家族からミッキーを引き離そうとする。
当然、トラブルが起きて、 ミッキもしびれを切らしそうになる。
試合の順序や対戦相手は、映画のなかでかなり変更が加えられているけど、話の要になる🆚アルフォンソ・サンチェス戦(1997年4月)や、シェイ・ニアリーに挑んだWBU世界 (2000年3月)の様子は、たっぷりと描かれる。ウォールバーグも、ミッキーの必殺技やった左フックのボディブローを随所で見せて、観客の身体を熱くさせる。 監督のデヴィッド・ ・ラッセルは、癖のあるキャラを強い描線で形にしてる。
人は、残酷な世界てのが己の成長や忍耐力の向上のためのより良い機会を与えてくれたとしても、己が人を軽蔑したら、信頼を欠くようになってしまう。
それが今作品の家族の主な問題であり、映画の中のすべてのキャラが少なくとも1つのミスを犯した理由でもある。
人種差別、偏見、
保守主義、偽善、
性差別、未熟さ、
薬物中毒、家族の放棄、
友人関係の放棄、等々。
せや、すべてのキャラには、その欠点の中にもエエとこも持っていました。
人生の苦難を、メロドラマ的、操作的、あるいは偏った言い訳としてではなく、本編を補う要素として描き、羞恥心や自責の念を強いる本作品。
これこそが、全キャストによる素晴らしい演技の有用性であると思いました。
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