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EUREKA ユリイカのcocacorgiのレビュー・感想・評価

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)
4.0
物語の前半、ふとした瞬間に環境音やら風景が誇張されているような気がして、そこから世界の大きな力の流れを感じた。言い換えればそれは運命みたいなこと。
彼ら彼女らがバスジャック事件のあの場に居合わせたこと、大きな傷を背負ったこと、それらはもしかしたら定められた運命だったのかも知れない。ならばそれはきっと乗り越えられるものであってほしい。
だって、避けようのない出来事、そこにぶち当たること、それを乗り越えること、その繰り返しが人生なんじゃないかと。それを破壊(喪失)と再生と言ってみる。
喪失は人を孤独にさせる。でも人は寄り添い合うことができる。壁をコンコンと叩けば、叩き返してくれる人がいる。孤独だけど、1人じゃない。
1人じゃダメなことでも、1人じゃなければなんとかなるかも知れない。
従兄弟の兄ちゃんは、最後の最後で寄り添うことができなかったんだね。
でも、松重豊の逃げるのか?のセリフにどこか切なさを感じたのはきっと、(俺をおいて)逃げるのか?ってことだったから。松重豊の傷は誰にも気付かれず、置いてけぼりにされて、実は1番可哀想だったりする。お見送りの表情でグッときた。グッときたけど、腹減ったの表情とダブって、たぶんあのシーンで微笑んでたの私だけ。
ベタだなあって思っちゃうけど、やっぱりラストに世界が色付くのは、分かってても良いなって思う。たぶん松重豊はセピアなままだけど。
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