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ミストのcocacorgiのレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
4.0
密室劇と言えば必ずと言って良いほど心理ドラマで不快な人々を見る羽目になるけど、もちろんそうそれ。
こんな非現実的で危険な状況なのに自尊心や排他的思考を捨てきれず、傲慢な態度で声を荒げては相手を攻撃するクソみたいな人々や、声の大きな者に流されてクソに加担する盲者の集まりには、吐き気と同時に目を背けきれない現実味がある。そんな人間の本質が何も見えない霧の中で見えてくるっていう構造が面白い。
あと、私が一番パパの選択がミスったねと思ったのは、銃を拾ってしまったところ。でも正しい選択かどうかは後々にしか分からんし、かと言って自分で何も選べない人は結果的にクソに加担することになるし、じゃあなにが正しい行動なのよと大きな無常感が常に劇中に霧のようにたちこめる。
どれだけ絶望して周りに助けてくれる人が誰も見当たらなくたって、もしかしたら救いの手はすぐそばまで来ているのかも知れない。
今見ている世界の中に差し伸べられた手は見えないかも知れないけど、だからといって諦めないように。それは見えてないだけだから。
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