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ハンコックのabeeのレビュー・感想・評価

ハンコック(2008年製作の映画)
3.9
【酔っ払いヒーローの再起】

酔っ払い。
何て嫌な響きでしょう。

そこには色々な事情があることは分かっています。アルコール依存症ともなればこれは病気。
それは精神面から人の体を蝕む病気なのです。

私はお酒が飲めないのでこのような人の気持ちが分からないのです。

私の大好きなバンドのボーカルはライブ中にガバガバ酒を飲みながらパフォーマンスするのです。
私はそれが嫌で嫌でしょうがない。
酷い時には客に当たり散らす時もあるのです。
ファンやめりゃいいのにね笑
それでもやっぱり大好きなのです。

全くどうでもいい話をしましたが、この作品の主人公「ハンコック」は馬鹿力の持ち主でありその脚力で空も飛ぶ。ただ欠点は協調性の欠如と酒を手放すことができない呑んだくれであること。
そのパワーで人を助けてもやり方が横暴すぎて感謝されない。
そんな中、線路のど真ん中で止まってしまった車を助けたところ運転手のレイにハンコックのイメージアップ戦略を提案される。

嫌われもののヒーローが正統派ヒーローとして再起を目指す。
短さの割にストーリーもしっかりしていて人間ドラマも詰まっている。
もちろん単純にコメディとして面白いです。

ストーリーの中盤から明らかになっていくハンコックの人生。
それも軽い感じで語られるが抱える孤独は言葉を用いずその表情で見せる。
ウィル・スミスだけでなく彼を見つめるシャーリーズ・セロン扮するメアリーの視線から何らかの事情を抱えることをしっかり観客に伝える。
演者の力量がしっかりしていれば言葉は必要最低限でいい。
これこそ作品がコンパクトにまとめられている一番の要因なんでしょうね。

何ら心配なく楽しめる作品ですが一つ難を言うのであれば「ハンコック」という生命体がどういったものなのかほとんど明かされないことでしょうか?
宇宙人?政府による人体実験?人造人間?それとも神により選ばれし子なのか?
あえてここを明かさなかったのはひょっとすると続編ありきだったのかも知れませんね。
実現してませんが…

ということで、結末も中々シャレていて前述の件を考えなければ楽しめる作品です。
共に生きていくことは並んで歩く以外にも方法はいくらでもある。
愛する人を守るために、少し遠くから見守ることもまた愛。
空を見上げれば君を感じる。

なんか面白くないイメージを持って見始めましたが予想外に楽しめました。
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