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フランケンフッカーのhorahukiのレビュー・感想・評価

フランケンフッカー(1990年製作の映画)
3.7
人体蘇生にケチャップは必須!?

芝刈り機に粉微塵にされた婚約者を救うため、無事だった頭部といくつかのパーツを謎液につけて保存。そして夜の街で娼婦の体パーツを厳選。理想的なパーツを繋ぎ合わせて完成した婚約者エリザベスは、蘇るや否や娼婦として意気揚々と街に繰り出しちゃった…。

婚約者の父親の誕生パーティー中、脳味噌に目ん玉ついてる謎な生き物の実験をひとり黙々と続けてる主人公さんを、「へんな人ね」くらいのリアクションで許容しちゃう面々にまず唖然とさせられるのだけど、変な機械とか銅線だらけの実験場(台所)に、なぜか堂々と鎮座してるケチャップの使い道はなんだったのか気になって仕方がなかった😂

婚約者を復活させるためにひとり黙々と研究を続ける主人公さんの熱量は凄いのだけど、めちゃくちゃリアルな人体図に赤文字で何か数式かそれっぽいものをビッシリと書き込みしていく緻密さの割に、完成予想図は雑誌の裸体切り抜きに婚約者の顔写真を貼り付けただけの雑コラなのが笑える。しかもVHSでは完成図にもしっかりモザイクが施されてる抜かりなさにも笑った!

『バスケットケース』の続編製作を依頼されていたヘネンロッターが「続編なんて作らない!」と断固拒否してる時に、「完全新作も作って良いから」っていう甘い言葉に釣られて『バスケットケース2』が生まれたのだけど、その時に製作した完全新作が本作。そのためなのか、大量のフリークスによる阿鼻叫喚地獄絵図が両作に共通しているのが面白い。

徹底的にバカをやりつつも、真面目な主題に向き合うヘネンロッターらしさは今作でもしっかりと発揮されており、体型的な悩みを抱えていた婚約者エリザベスを理想的なパーツで作り直すという男側の女性に対するルッキズム的傲慢が根底に敷かれた物語になっているのも見どころ。

傲慢の象徴たるエリザベスを思い通りにできずに右往左往する腑抜けた姿も去ることながら、クリスマス貯金とかいう子供くさい金で男性的欲望を満たそうとする主人公さんを男サイドの代表として矮小化させてるあたりフェミニズム要素がかなり強い。復活したエリザベスは、女性を欲望の捌け口としてしか見ていない男どもを文字通り爆発させまくるのも意味深。

雷使った蘇生含めて『フランケンシュタイン』をオマージュしてるからこそ、主人公の名前もジェフリーフランケンにしてるのはわかるけど、ジェフリーっていうのは『死霊のしたたり』のハーバートウェスト役ジェフリーコムズから採ってるのかな?どちらにしても『死霊のしたたり』からは影響受けてそうだし、あと多分『デッドリーフレンド』からも影響受けてるよね😂
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