【裏方映画屋たちと映画への讃歌】
イラン革命によって帰国困難となった米大使館職員を救出するべく計画されたCIAの奇想天外な一大作戦。
多数派のもとに晒される少数派の恐怖が如実に顕現された「ゾンビ」にも通じる 大使館に雪崩れ込む群衆。 完全アウェイ&アナーキーシチュエーションに身を投じた事を示す吊し上げの死体。 要所の煽り要素も総じて冴え全編を終始する異様な緊張感。 アルゴ作戦の奇想天外が醸し出す一服の諧謔。 以上の要素に裏打ちされた 歴史の知られざる側面を提示する優れた再現ドラマ。
「アルゴくそくらえ」と叫びたくなる馬鹿げた作り話に、真剣に全力に そして命懸けで取り組む者たち。 また、CIA機密保持の為 決して日が当たらない任務である彼らの行為は「作り話を真剣にクリエイトする=映画屋達」への讚美へと透過してゆく。
裁断された写真を繋ぎ カタチにするはまさに映画行為。
裏方映画屋たちへの、映画への讃歌だ。
《劇場観賞》