horahuki

ゾンビの秘宝のhorahukiのレビュー・感想・評価

ゾンビの秘宝(1982年製作の映画)
3.6
「死」の侵食!

11月はゾンビ⑫

「大学の単位より財宝だろ!」と地図を頼りに砂漠のオアシスにやってきた若者グループに、財宝の守り神・ナチスゾンビたちが襲いかかる「秘宝」の争奪戦。わけわからんお話なのに、カリオストロの銭形警部ばりに上手いこと言って強引に締めようとする力技に感服!!

英題は『OASIS OF THE ZOMBIES』。当然舞台は砂漠のオアシスになるのだけど、少し草木(なんか枯れてるような…)が密集してる程度のところがオアシスというらしい…さすがのジェスフランコ!同じくジェスフランコが脚本を担当した前年の『ナチスゾンビ』と同様に、本作でもナチスがゾンビとして登場するのだけど、戦時中の長めの回想シーンがあったり火が弱点だったりと共通点が多い。

ただ単に顔が緑色だった『ナチスゾンビ』と違い、『サンゲリア』の腐乱死体のようなビジュアルのゾンビたちがワラワラと地中から這い出てくる様は圧巻!顔面にはミミズが這い、片目だけが破損した者や逆に片目以外の皮膚が全て剥がれ落ち骸骨化した者等、腐りきった死体がそのまま地上を歩く強烈な印象を与えるクライマックスが素晴らしい。

予算がないためか『サンゲリア』とは違ってグロゴアにそれほど見どころはないのだけど、「死」が舞い戻ることに絶大な説得力を与える異界としての空間構築が非常に上手い。『ホワイトゾンビ』も『私はゾンビと歩いた!』も異国への恐怖を反映した作品で、『サンゲリア』はそれを島に求め、本作はアフリカの砂漠に求めている。

砂漠という「死」の空間に周囲を囲まれた少しの「生」としてのオアシスは、それだけで異様さを醸し出す舞台として申し分なく、BGMのない中で、どこからともなく聞こえて来る正体不明の規則正しい不気味な音、風が吹き荒び唸る音、砂漠の砂が生き物のように地表を滑る光景等、空間そのものに自分たちが拒絶されているような感覚を徹底的に植え付けてくる。

まるで異文化の中枢に放り込まれたかのような逃げ場のない四面楚歌を砂漠の中のオアシスが体現し、赤い夕暮れ、青い夕闇をバックに砂漠の丘から浮かび上がってくるゾンビたちが影のまま迫り来る様は、「死」そのものが空間ごと自分たちの首の皮一枚の領域を蝕んでいくような恐怖を植え付けてくる。

本作はコケおろして良いような大義名分みたいなのを獲得しちゃってるようで、どこ見ても酷評されてるけど、決まりきったレールを一切脇道に逸れずに突き進むだけの数多ある作品よりかは、本作のような歪さの魅力のある作品の方が私は好き。

これVHSで見たのだけど、普通にDVDが800円ちょいで売ってたってのが何よりガッカリ…😱無駄な出費しちゃった🤣
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