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サニー 永遠の仲間たちのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)
4.0
この映画見てると、学校や街並みや文化など、日本と韓国はよく似てて、欧米の学園モノ青春映画だとこうはならないだろうと思いました。

80年代は日本でもスケバン刑事なんかが流行って、校内暴力とかあって、不良が幅をきかせてた時代ですかね。
「サニー」は見かけは不良っぽくはないかど、よくケンカしてましたね。

ダサさを極めたファッションも時代を感じさせますし、音楽も「Sunny」はもちろんのこと懐かしい曲がいっぱいで良かったです。

ただ、韓国は80年代頃はまだ軍事独裁政権で、子どもの頃、ニュースで韓国で火炎瓶投げたりしてデモ隊と軍の激しい衝突の映像を時々見て、過激な印象を持ったものでしたが、今はそんな面影は感じさせなくて、すっかり時代の移り変わりを感じます。
そんな時代背景もコミカルに描かれていて面白かったです。

ストーリー的にはだいたい先の予想もつくし、珍しさはないんですが、大人になって、それぞれの立場や生活や抱えてるものがありながらも、いつも一緒にいて笑い合いバカやったりできた仲間との再会を通して、今の自分も少し前に踏み出せる感じや、大切な人のために一生懸命になれたりして、昔の友情が今に繋がっていてあたたかな感動があり、懐かしい青春の煌めきにキュンときました。

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2回目

久しぶりに再鑑賞。
シムウンギョンはすっかり実力派女優としての地位を確立したし、カンソラはミセンでも存在感のあるいい役を演じてたし、パクチンジュは本作のカン・ヒョンチョル監督の「スウィング・キッズ」でもチョイ役でしたが印象を残していました。

初見の頃から何年も経ち、その間にいろんな韓国映画を見て、韓国の歴史もちょっとわかってきましたが、韓国の80年代という軍事独裁政権とそれに対抗する民主化運動との激動の時代が、彼女らに与えた影響ってあるし、その韓国を語るのに外せない要素なんだと今なら理解できます。

最後に全てが丸く収まりすぎ、しかもほとんど金で解決やん…とか思うところもありますが、泣いたり笑ったりみんなで無茶やって青春の全てだったサニーの仲間たちと再会する事で、もう一度自分自身が人生の主人公になっていくところは胸にグッときます。

これは日本でも似たようなもんですが、妻として母として家庭に尽くす役割としてでしか生きて来れなかった女性が、あの頃のように人生を自分の手に取り戻し、輝いていくのが良かったです。

やはり韓国も家父長制で女性の地位が低く、本作の中でも姑にいびられながら、姑の世話と育児と家事をやる事だけの人生で、本当に自分のやりたい事や能力を活かせつ仕事に就きたいと思いながらも叶わないというエピソードもあったり、「男社会の中で成功するまでに苦労しただろう」というセリフもさりげなく入っていたりします。

サニーのメンバーでも、自分の力で成功してるのは1人で、あとは、夫が成功してるから自分は何不自由ない生活はできるけど自分が発揮できずに満たされないとか、嫁としての役割の中に閉じ込められれているとか、家の貧困から大学や夢を全て諦めて、不幸でままならないとか、女性が生き生きと輝くには厳しい背景が現代パートで描かれています。

だけど、それが深刻にならずにコミカルにポップに描かれているのも楽しくて本作の魅力だと思いました。
こうしたそれぞれの時代の社会背景をきっちりと描いているのが韓国映画らしくて良かったです。

24
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