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トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーンのwigglingのレビュー・感想・評価

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精神病院ものって良い作品が多いジャンルで、記憶に新しいところではフラーの『ショック集団』なんかもそう。
精神病院を舞台に、いわゆる「怒らせてはいけない奴を怒らせてしまった」要素をプラスしたのが本作です。

軍の療養所にいかにもワケありの元軍人ケーンが院長として赴任してくる。精神病患者だらけなので色々あるもののそれなりの平和が保たれ、土壇場で発狂し逃走した元宇宙飛行士カットショウとの奇妙な友情も築かれる。ある事件を機に脱走したカットショウがバーで暴走族に絡まれ乱闘になり、救出に向かったケーンの秘めていた本性が現れ...というお話。

病院での日常も狂ってて楽しいけど、終盤の炸裂するバイオレンスがなんといっても見所。ケーンも初めは我慢してボコボコにされるも、徐々に暴力衝動が目を覚ましていくくだりが最高です。腹の中でマグマがゴゴゴゴと熱を湛えていく描写。その溜めと爆発が素晴らしい。

『エクソシスト』の原作者ウィリアム・ピーター・ブラッディがメガホンをとった本作は、静謐なタッチで描かれる男臭いヒューマンドラマでした。地味ながらも不思議な鑑了感のある良作です。

カナザワ映画祭2016の不安な時代呪われた映画特集の一本。
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