horahuki

恐怖の精神病院のhorahukiのレビュー・感想・評価

恐怖の精神病院(1946年製作の映画)
3.7
驚愕の札束サンド!🤣

リュートン×ロブソンによるホラー!リュートン製作のRKOホラーとしては事実上最後の作品😭都合の悪い奴は強制入院させられるというヤバい精神病院。札束をサンドイッチにして食べたせいで入院させられたヒロインさんが権力に反抗する。そんなロブソン監督らしいフェミニズム要素強めな良い作品👍

ヒロインさんは偉い貴族の話し相手。良くわかんないけど専属のキャバ嬢?みたいな感じ。精神病院が精神障がい者を使ってショーをするって言うんで、貴族と一緒にヒロインさんも観客として参加。最初は障がい者を見て笑い飛ばすつもりでいたヒロインさんも、ショーでのあまりに酷い扱いに覚醒!精神病院の劣悪環境を改善するよう貴族に提言→金かかるから却下→反抗的で邪魔なヒロインを強制入院の流れ。病院内から環境改善したるで!ついでに私を出して…😭!ってお話。

『放蕩一代記』から着想を得たようだけど、ポー『タール博士とフェザー教授の療法』『黒猫』『早すぎた埋葬』を混合させたような内容で、ブラウニング『フリークス』みたいな余韻を残す公平さが良かった。どれだけ高尚な事を言っていても、人間は他者を貶めることを「目的」によって正当化する…それは障がい者も健常者も変わらない。『第七の犠牲者』と同様にロブソンはやっぱり公平で厭世的!

価値観的対立における他方を異常とみなす。それを決して是としないのは『第七の犠牲者』と同様で、極悪院長であるボリスカーロフにも人間味はしっかりと与えられている。「理性の時代」と称される作中舞台でさえも、自身の経験から学問など何の役にも立たないと語ることに彼の砕かれた過去の悲哀と皮肉を滲ませ、崇高な目的を掲げつつも敵対他者を貶めることを是としてしまう主人公サイドの未来像としての一面もカーロフが併せ持つことにロブソンらしさが出てると思う。

オウムの形をした言論の統制、精神病院内での幻聴ミスリードとか、最後の殺人者の佇まいとか面白かったけれど、映像的には『キャットピープル』等の流れを組んだ『第七の犠牲者』の美しさの方が個人的には好みかな。画面外にいてもインパクトを映画全体に行き渡らせるカーロフは恐るべし!!
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