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ル・アーヴルの靴みがきのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)
4.0
まずはじめのシーンからして、あぁ、カウリスマキ♡って。
2人の靴磨きの表情や立ち姿がなんとも。
そして、音楽もやっぱりカウリスマキです。
もう、最初っからうれしくなります。

フランスの港町ル・アーヴルで靴磨きをしながら慎ましく暮らす男が、アフリカから密入国してきた少年を近所の人達とかくまう話なんですけど、もう唐突でムリヤリな感じの荒技的ハッピーエンドで、出てくる人達は手のひら返したように急に心優しい善人になるし、あり得ないくらい都合良く物事がすすみまして、そんなところも面白いんですけど、このユルユルとした映画に移民の問題を入れつつ、街の片隅に住むちっぽけな存在の人達や、弱い人達にとことん寄り添った徹底した優しさに、とっても共感できて、やっぱりカウリスマキは良いなぁって思いました。

ヨーロッパでも経済危機による不安の矛先が立場の弱い移民に向けられて、排斥が強まったりしていることへの、カウリスマキなりの抵抗なのかなって思えました。
声高に叫ぶこともなく、いつも通り淡々としてるんだけども、偏狭で不寛容さが蔓延したこの時代に、嫌味なくらいにやさしさや温かさを見せてくれたカウリスマキ的メッセージにグッと来ました。


12.5.26 梅田ガーデンシネマ
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