踊る猫

セブンス・コンチネントの踊る猫のレビュー・感想・評価

セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)
3.9
一家が有り触れた日常生活を送る。そしてある日一家は心中する。それだけのこと……と書くと語弊があるだろうが、そういう映画だ。ミヒャエル・ハネケ作品は『ファニーゲーム』程度しか観ていないので何処までこの単純そうで難解な作品を読み取ることが出来たのか自信がないが、どうとでも解釈出来そうな内容だ。「終わらない日常」の苦しみ、無常感……そういう曖昧さを敢えて残すことでハネケ監督はこちらの心を敢えて揺さぶりに掛けている。その悪意(と敢えて書く)はなかなかのものだ。破壊シーンも生々しい。水槽を叩き壊す場面とお金を千切って水洗便所で流す場面が取り分け印象に残る。あそこは生命あるものを殺し、社会生活に完全にサヨナラを告げる場面だからだ。クールな質感を伴った映像はやはりハネケならでは……と書くのはまだ早いか。
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