ひこくろ

バリバリ伝説のひこくろのレビュー・感想・評価

バリバリ伝説(1987年製作の映画)
4.0
あらためて「バリバリ伝説」は本格レースマンガなんだよなぁと思わされた。

当たり前だけど、80年代のアニメ作品なので、全体的に雰囲気はやや古い。
特に日常のシーンのエピソードがだらだらと続く感じや、女の子のキャラクターデザイン、コメディ要素なんかは、いま観ると結構きつい。
申し訳ないけれど、古いし、面白くない。

それが、レースが始まると面白みが一気に増してくる。
選手がコース上で繰り広げる駆け引き、チームとして挑む戦略、レースならではの雰囲気。
どれもがまるで本物のレースを見ているかのようで、迫力満点だし、たまらなく熱い。

80年代と言えば、まだCGなんかも発達していない。
なので、画はほぼ手描きのものなのだが、これがまたじつにいい味を出している。
建物や乗物のような無機物は、3DCGが得意とする分野なので、いま描くとしたらそうなるだろう。
それはそれで、リアルで格好いいものになるに違いない。
けれど、手描きのバイクは、全然別の感じで存在感があり、格好いい。
レースシーンの見せ方も素晴らしく、手描きだけど疾走感もばっちり。
ゴールをモノクロで描くなど、演出も最高だった。

いがみ合っていた主人公の郡と秀吉が、レースを通して相手を認めあい、協力してトップを目指していくのも、実力のあるライダー同士ならあり得そうだ、と思わされる。
また、トップ争いだけでなく、完走を目指そうとする比呂と美由紀の姿など、ちゃんとレース全体を描いているのが、本当にリアルだと感じた。

サーキットの雰囲気がちゃんと映画の中にあるのが本当に素晴らしかった。
ひこくろ

ひこくろ