イチロヲ

残酷ドラゴン 血斗竜門の宿のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
悪政を敷く宦官により斬首された大臣の遺児を救助するべく、特務部隊が秘密裏に活動を開始する。前作「大酔侠」と共にワイヤー・アクションの礎を築いている、台湾産の武侠映画。1992年に「ドラゴン・イン」としてリメイクされている。

前半部は、異なる境遇をもつ人物たちが寂れた旅館に集まり、腹の探り合いを繰り広げながら、互いの立ち位置を確認し合う群像劇。そして後半部は、2派の勢力に分かれた状態での衝突劇。何となく、京劇とマカロニ・ウエスタンの融合が感じられる。

キン・フーの演出は各シーンがクドいのだが、その満腹感が癖になるという麻薬のような性質をもつ。仲間が少しずつ増えていく展開、剣士がド派手にぶつかり合う剣戟アクション、隠したトランポリンに乗ってピョンピョンなど、見どころは枚挙に暇がない。

紅一点のシャンカン・リンホーが、まるで花輪和一先生が描く少女キャラのようで可愛らしい(男装の設定は、さすがに無理がある)。かつて志村けんが演じていた「なかなか死なないコント」を彷彿とさせるラスボス戦も、色々な意味で見応え満点。
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