Ricola

愛と追憶の日々のRicolaのレビュー・感想・評価

愛と追憶の日々(1983年製作の映画)
3.7
毎年自分の誕生日、そして大好きなシャーリー・マクレーンの誕生日でもある4月24日には、マクレーン出演作を観るというのがお決まりになっている。
相変わらずキュートで芯の強い役の似合うマクレーンの魅力にぐっとくる作品だった。


母と娘の強固な絆には誰も割って入れないし、二人にしかわからない関係がある。
そんな仲のいい母娘でも、「親の心子知らず、子の心親知らず」ということがどうしても生じてきてしまうのだ。

赤ちゃんの娘が寝ているだけでも、死んだのではないかと思ってベビーベッドに乗り込んで息していることを確認したり、小学生の年齢に成長した娘のベッドに、一緒に寝ようと潜り込んで甘える母親。
過保護という言葉で片付けてしまえば簡単だが、それ以上にこの母娘が「親子」関係というだけでなく友情に似た感情で結ばれていることが肝である。

オーロラ(シャーリー・マクレーン)と娘のエマ(デブラ・ウィンガー)。娘が幼いうちに夫を亡くしたオーロラは、自由奔放な女性で複数の男性からチヤホヤされるのを楽しんでいる。一方のエマはオーロラの反対を押し切って高校卒業後すぐに結婚をし、オーロラから離れた土地で新生活をスタートさせる。ただ距離が離れてしまっても、二人は何かあったら電話をする。特にエマはオーロラに真っ先に相談をするほどだ。近況や悩みは電話で報告し合う。むしろ離れて暮らし始めたことで、お互いの存在の大切さに改めて気付かされるのだ。そして、久しぶりに会ったときにはお互い赤裸々に恋愛話をして、ベッドの上で笑い転げる。そんな二人の姿は、パジャマパーティを楽しむティーンエイジャーのようである。

年月の経過が描かれるなかで、それぞれの恋愛や夫婦問題における変化が、会話のなかで見えてくる。
「君の持つ何かが僕を悪魔に変えるんだ」
オーロラの隣に住む元宇宙飛行士だというギャレット(ジャック・ニコルソン)は言う。
一方でエマは夫のヴァーノンに言われる。
「神様、いや悪魔に感謝したい」
ドライブにでかけて浜辺で暴走していたら、海にぶっこむデートをするオーロラは、青春を再び楽しむようだが、エマは夫との冷めきった関係に悩むばかりである。

母娘の30年に渡る絆を描いているので、どうしてもその時々の瞬間を濃くとらえるのには限界があると思うが、重要な瞬間におけるオーロラとエマの感情がしっかり描かれているため、二人へ感情移入をしてしまうほどこの世界に浸かることができた。
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