『ラスト・キャッスル』
原題The Last Castle.
製作年2001年。上映時間132分。

戦争の英雄でありながら軍刑務所に送られた主人公が、囚人を理不尽に扱う刑務所長に敢然と立ち向かう姿を描く。

1936年8月18日生まれ、今年で御年86歳のロバート・レッドフォードの久々の主演映画シブすぎる。
監督は『ザ・コンテンダー』のロッド・ルーリー。
刑務所長ウインター大佐役のジェームズ・ジョゼフ・ガンドルフィーニ・ジュニアも中々憎らしいけどエエ演技してた。
当初、ウィンター大佐は葉巻を吸う予定だった。ジェームズ・ギャンドルフィーニは、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』（1999年）で彼が演じたトニー・ソプラノを観客に思い出させすぎると考え、このアイデアをやめるよう監督に懇願したそうです。

扨、お話は、
アーウィンは輝かしい戦歴を誇る三つ星の中将だったが、ある出来事のため軍法会議にかけられ軍刑務所に収監されてしまう。
(この刑務所は、映画『グリーンマイル』に使用された場所だそうです。)
そこでは刑務所長ウインター大佐が囚人達を虫けらのように扱う非人道的な管理が行われていた。
戦場の英雄アーウィンとて例外ではなく、それまでの地位も名誉も剥奪され、一兵卒と同様の扱いを受ける。
当初はアーウィンに対して距離を置いていた囚人達だったが、次第に打ち解け合うようになる。
そして、ある悲劇が起きたとき、彼らはウィンターを追い落とすために、アーウィンを中心に一致団結して立ち上がる決意を固める。

悪人とされてる者が善人で。
善人とされてる者が卑しい者の世界。
今作品は、卑劣で自我の強エエ所長（ジェームズ・ガンドルフィーニ）が運営する軍の刑務所で、規律の名の下に悪に対して悪いことが行われている。
ユージン・アーウィン中将（ロバート・レッドフォード）は、この非道な奴らと一緒に投獄されることになったが、すぐに彼らの中に良いところを見つけ、最終的には人道的な刑務所改革のために戦う彼の崇高な収容者軍に彼らを入隊と云うより志願させる。
犯罪者たちの権利について説教する。
刑罰制度の不公平に耐えなければならないことによって社会から犠牲になっている。
彼らは(暴動者たち)本当にまともな兵隊さんに感じた。
今作品は、ロバート・レッドフォードが主演した2作目の刑務所改革映画で、これはロバート・レッドフォードの愛着があるならブルブル魂が震える違いないかな。
もう1本は『ブルベイカー』(1980年)で、改革を志す所長が刑務所内に入り、刑務所内の生活を体験することで、指揮を執る前に囚人から見た現状を知ることができる。
彼は、彼らがまったく人を寄せ付けないことを知り、すぐに刑務所を改革して、全員が模範囚となり、将来の市民指導者になれるようにするて感じやったと思うけど。
今作品の、現実の問題点は、権力者を常に邪悪で堕落したサディストにする一方で、囚人たちを、こうした抑圧された環境で生きながらえようとする純粋な魂に仕立てていること。
明らかに、現実はその逆が多い。 映画そのものは、あらゆる手段を講じているが、あらゆる場面で作為的なんは否めない。
また、非現実的ともとれる。
物腰が柔らかく、誰の中にも良いところがあるのを見抜き適材適所の差配をする。
観終えて思えば、刑務所を乗っ取るという計画全体がほぼ難しい作戦かな。
作中、どないして、疑われずに三脚を作ることができたのか、また、囚人が火炎瓶を作るために沢山の可燃性液体に簡単にゲットしたんか。
また、塔にいる看守が、狙撃兵であろうとなかろうと、かなり離れた立ち位置から、ゴム弾付き、スコープなしの散弾銃で囚人の頭部を安定して撃ち抜けるというのはあり得ないことやし笑止千万なんやけど。
観てるときは、俳優陣の演技が素晴らしく、完全にハマってしまった。
監督のロッド・ルーリーはストーリーを動かしながら、囚人たちの苦境に共感して感情的に引き込んでいくん巧すぎ。
アクションシーンもよくできてたし、これは、技術的に優れた映画やったし、罪人をヒーローに仕立て上げ、彼らを応援させるちゅう、意図したことを効果的に行っている。
今作品は、ナイーブな政治的背景と、まったく作為的なプロットを持つ良い映画やし不思議な作品でした。
もし、逆境を克服するための素晴らしく、囚人が実際に善人であるような映画を望むなら今作品は素晴らしいものとなるんじゃないかなぁ。

ロバート・レッドフォードから勇気をもらう映画。

軍刑務所の男達の胸熱物語です。


主人公のアーウィン中将（ロバート・レッドフォード）は、かつての名将。

撤退命令を無視したため、軍刑務所に収監された。

その軍刑務所では、所長のウインターズ大佐が傍若無人の限りを尽くしていた。

所長の命令に逆らった兵に、部下にわざとゴム弾を頭部に当てさせて、死に至らしめるほど。

アーウィンは、当初は事なかれ主義で無難に刑期を務めようとしていた。

娘にも見放されたようで、どこか虚ろ。

しかし、アーウィンは、服役兵たちの不遇さをみかねて、兵達をまとめ出す。

やさぐれていた服役兵も、アーウィンの誇りある態度に感化されていく。

一般刑務所以上に、軍で罪を犯した兵は自分達を恥ている。

服役兵達は、ウインターズ大佐が所長にふさわしくないことを証明するため、所内で暴動を起こす計画を立て始めた。

所長側もそれを察知する。

暴動が起こるなか、アーウィンがとった行動とは？

（鎮圧される、負けるのは承知のはず）

（彼の真の目的とは？）

先日「ホット・ロック」を観て、改めてロバート・レッドフォードの魅力を再認識したというか、思い出したんで鑑賞。

小学生の頃か。わしら子供にも人気があった映画スターと言うと、アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソン、ポール・ニューマン、スティーブ・マックィーン、ほんでロバート・レッドフォード、とね。数えるくらいしかおらんかった。
もう少し後、中高校生くらいになるとアル・パシーノやロバート・デニーロとか出てくるんだが。
その中でもロバート・レッドフォードは正統派2枚目で、品が良くて。「明日に向かって撃て」「スティング」「大統領の陰謀」とか数々の傑作を観たもんだ。「コンドル」とか良かったわー。CIAのな。メリン神父の出てくるヤツ。

で、この映画。
若干漫画チックではあったが、レッドフォードありきで当て書きしたような脚本で至極満足。
2001年製作の作品なのに、1960〜70年代の映画のような趣。ポール・ニューマンの「暴力脱獄」みたいな雰囲気もあって、なかなか良かった。

もう亡くなって久しい絵に描いたような悪役面のジェームズ・ガンドルフィーニも憎たらしくて良かった。