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やがて復讐という名の雨のHKのレビュー・感想・評価

やがて復讐という名の雨(2007年製作の映画)
4.0
『あるいは裏切りという名の犬』が予想以上に面白かったので、ちょうどCSで放送されていた本作も録画して鑑賞。
こちらも同じくダニエル・オートゥイユ主演で渋い!面白い!
本作も元警官のオリヴィエ・マルシャル脚本・監督で、『あるいは~』から始まる警察の内部を描いた三部作の二作目。

本作は主人公の刑事オートゥイユが関わる2つの事件が並行して描かれますが、またしてもマルシャル監督自身が関わった実話ベースのストーリーだそうです。
他作品にはない警察内部のリアルな描写はやはり同監督ならではのものなのでしょう。
ほんのちょっとフランス版『87分署』シリーズの趣も。

オートゥイユは『あるいは~』のエリート捜査官とはまた違い、アル中と無精髭で小汚くより孤独と絶望感漂う刑事を演じています。
他の主要キャストの何人かは『あるいは~』で印象的な役柄を演じた常連俳優が別の役柄(といってもまた警官役)で続投。

凝った邦題と違ってシンプルな原題は “MR 73”。
MR 73とはフランスのマニューリン社が開発した法執行機関向けダブルアクションのリボルバー・ピストルだそうです。
同僚の刑事が自分が持つMR 73の希少モデルを主人公に自慢するシーンで同僚に死亡フラグが・・・

序盤のバスジャックを取り囲む重武装と目出し帽のまるでテロリスト集団に見える警官隊にビックリ。
警官隊が顔を隠すのは犯罪者仲間による報復防止のため?
もはや『ウォッチメン』の世界が現実化しているようで恐ろしいですね。

フレンチ・ノワールは80年代以降は廃れてしまったものと思い込んでいた身としては21世紀になっても、こんな作品が作られているとは嬉しい誤算(私が勉強不足なだけ?)。
それにこの監督、犬や猫が好きなんでしょうね。一瞬、オートゥイユのキャラが『仁義』のブールヴィルに被って見えました。
HK

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