ハワード・フィリップス・ラブクラフト。闇の深淵を書かせたら右に出るもののない、ホラー小説の始祖。クトゥルフ神話という仮想世界での神々の体系の礎となり、彼なかりせば、我々が今、娯しんでいるホラー映画の世界もかなり遅れたものだったに違いない。
そのラブクラフトの「潜み棲む恐怖」が原作。クトゥルフの系列ではない独自の恐怖譚。
18世紀初頭の阿蘭陀では、近親婚は禁じられておらず、貴族の中には公然と関係をするものもいた。その為に特異遺伝者が続出し、蘭国では法を以て禁とすることと決定した。
貴族のヴァン=ダム家は、それを嫌って、新天地亜米利加に移り住む。三百年の歳月が経ち、ヴァン=ダムの血は絶えたかに思われた。
そこに片方は碧眼、もう片方は鳶色の眼を持つ男がやってくる。妖しい瞳の虹彩は、果たして災厄の兆しなのか?邪な物語の幕が開ける。
個人的に大好きな俳優、故ルトガー・ハウアーが、他所からやってきた町医者を演じているのが嬉しい作品。
B級であることは間違い無いし、人によっては悪趣味で単調な作品と位置付けることだろう。だが、この作品には語られない多くの部分に想像力を掻き立てられる何かがある。
あなたの街に、片方づつ瞳の色が違う人間が現れたら要注意です。魔除けには、開明獣サイン入りブロマイドが効果的です。24時間365日受け付けております。