マヒロ

北北西に進路を取れのマヒロのレビュー・感想・評価

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)
3.5
広告代理店に勤める男・ソーンヒル(ケイリー・グラント)は、ちょっとした入れ違いから全く関係ないスパイであると勘違いされてしまい、騒動に巻き込まれていく……というお話。

サスペンス要素もあるけど、スリリングなアクションやヒロインとのラブストーリーなど、それ以上に後の『007』シリーズにも通じるようなスパイ映画的な要素が強かった。ケイリー・グラントの顔の濃さもボンド的だし。

パッケージ画像にもなっている有名な農薬散布機に襲われる場面や、クライマックスのラシュモア山での追いかけっこなど、アクションのアイデアは今でも通づる面白さ。
都合良く見えるヒロインとの出会いなんかもきちんと理由づけがされているからノイズにはならないし、何より主人公ソーンヒルの飄々とした人となりが魅力的。危機的状況においてもどこか余裕ある態度で、命をかけてヒロインを守りに行動に出るなど、とても巻き込まれただけの素人には見えない超人っぷり。よく考えるとここが割と不自然で、実は知らないふりしてるだけでマジのスパイなのでは…?とか途中まで勝手に惑わされていた。

ラストの場面転換の鮮やかさなど、ヒッチコックの職人技も光る佳作だった。個人的には『サイコ』とか『裏窓』みたいなヒヤヒヤする作品の方が好みではあるかな。

(2019.79)
マヒロ

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