『人生の処方箋』
学生の時まではホラーとアクションばかり観てきたボクも、それからはジャンルを問わず観てきたつもりでしたが、結局「自分が生まれた年以前の映画というのはほとんど観ていないよなぁ」と常々思ってました。そして今回、1955年製作のこの作品を観て思った事。それは「まだ知っている映画ってほんの一握りなんだ!」という事でした。
鑑賞を終え、正直驚いています!
こんなにも無駄な部分が無い映画があるなんて!お話としては、もしかしたら誰にでも起こりうるお話で、描かれるテーマは時代に関係なく普遍的な問題。格差であり、年齢の差であり、もし今の時代ならこれに付け加え性別を越えた愛という問題も入ってきますかね。
言うならば『101回目のプロポーズ』の薫さん(浅野温子)と達郎(武田鉄矢)がいざ本当に結婚するとしたら、周りはそれをどういう目で見るか?どう反応するか?これと近いです。要はそれだけドラマでも描ける位のお話だという事。でもそれを、映画だからこその魅力が溢れる作品に昇華させていて本当に素晴らしいんです(’-’*)
そして、絵作り。
男のボクでも何だかうっとりしてしまいました(*‘ω‘ *)あくまでも自然な流れなのに、相当にカットも凝っていて、鏡越しに部屋に入ってくる所なんかは「うわぁ」って唸ってしまいました。あとなんと言っても劇判。まるでコンダクターが全編に渡って、物語の進行に合わせてタクトを振っているかのようでした♪♪♪
後半、とある人物が主人公の背中を押してくれるのですが、それはまさに人生の処方箋。その助言の場面は年長者の人生経験における説得力とやさしさが溢れていてとてもいいシーンでした(・∀・`*)
ただし、実際に行動を起こすかどうかは本人次第。さて、そこで主人公はどう出るのか?その後の行動によって起こる出来事は、最後の場面の盛り上げの為の取って付けた感が少し感じられはしたものの、あくまでさりげなく、でも伝えたい事は物語にしっかり込められている。この映画、まさに映画としては手本のようなそんな魅力溢れる作品だと思いました。あぁ、本当に良い映画を観たなぁ(*´・∀・)