Ricola

地下室のメロディーのRicolaのレビュー・感想・評価

地下室のメロディー(1963年製作の映画)
3.9
何とも渋かっこいいジャン・ギャバンとアラン・ドロンの存在感はさることながら、いかなるときもとにかく画面が美しい。

出所したばかりでも、やはりカタギの生活はできないと悟る中年のギャング。
そしてフラフラしている同じく出所したばかりのチンピラな若者。
この二人がタッグを組み、カジノの金庫の盗みを目論むという話。


鏡の使われ方が印象的な作品である。
クローゼットの中や、部屋にある鏡ごしにみえる二人の主人公の表情をうつす役割を担うだけでなく、その部屋の空間の奥行きをもたせるときもある。

例えば、人物二人と鏡の中の人物一人で、長方形の画面の中で3対立を自然となしている。そのおかげで均衡のとれた美しいショットが生まれているのだろうか。

シャルル(ジャン・ギャバン)とフランシス(アラン・ドロン)がビリヤードをする姿も鏡に映る。
ただ彼らがプレイをしているだけでもかっこいいのに、鏡のおかげで、ワンショットで彼らの2つの側面を同時に観られるからなんだかお得な気分にもなる。

フランシスがガールフレンドと喧嘩をし、車で一度去ったものの、少し停止しすぐに引き返す。
その間がなんとも絶妙で、もはや静止画としての美しさにぐっとくる。

カメラの動線が自然でスタイリッシュ。プールサイドでの危ういフランシスの行動を、じっくりと舐めるように尾行するようにゆっくりと動くため、緊張感がもたらさせれる。

太陽の光で、モノクロの映像の白がより際立つのも素敵。


ストーリーとしてはわりと展開が読めるが、とにかく計算しつくされたであろう画になるシーンの連続にしびれる。

そして結末までかっこよく、映像たるゆえんの美しさが発揮されていた。
Ricola

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