ろ

シェーンのろのレビュー・感想・評価

シェーン(1953年製作の映画)
5.0


場内の灯りがともり、ふと横を見ると、一つ隣のご婦人の瞳が輝いていた。とても清々しげにスクリーンを見つめていた。
ああ、同じように心が動いたんだ。
「この映画、よかったですね!」「本当に!」
私たちはハンカチで目頭を押さえながらおしゃべりしました。

実は彼女、「タイタニック」を観に来たつもりが、今日から「シェーン」に変わっていて、少し残念に思ったそう。けれど、良い映画に出会えたとニコニコ。
私も場面を思い出しながら話していると、また感動が押し寄せてきて、ウワーンって、なっちゃいそうでした。


「ぼく、シェーンのこと、だいすきだよ。パパとおんなじぐらい、だいすき」

流れ者のシェーンがやってきた。
堂々としたたたずまい、何といっても銃がとっても似合うんだ。
「シェーン、まだここにいてくれる?」
ぼくはいつまでも一緒にいたくて、何度も何度も尋ねたよ。

ジョーイはパパとママと動物たちと暮らす男の子。
「この土地は俺のものだ!」と言い張る横暴なライカーに苦しめられながらもこの生活を愛している。
しかし、次第に強くなるライカーの圧力。
農民たちの心も折れかけていた…。


ライカーの罠にはまり、亡くなった一人の農民。
小高い丘に集う人々、悲しむ家族。
愛犬は棺に手を掛け、寂しげにうなだれる。
ハーモニカの優しい音色は、遠く町まで響き渡った。


「正直な、強い男になれよ」
そう言い残した彼の背中に別れを悟る。
「シェーン、グッバーイ!」
こだまする声に、涙、なみだ。


この感動は、色褪せません。










( ..)φ

ここのところ、やり場のない怒りや虚しさを感じ、映画を観ても、やるせない。「シェーン」のあとも、なにか厳しい映画を観て閉じこもろうと思っていました。

所属も知らない、家族も知らない、名前すら分からない。
そういうフラットさが思いがけず、うれしくてうれしくて。

時を越えて「シェーン」を劇場で観ることが出来た縁。
「シェーン」が繋いでくれた縁。

この映画を観るたびに、きっと思い出します。
ろ