horahuki

新バーニング 鬼火伝説/虐殺の谷のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.2
山の中にキャンプに来た若者たちが殺人鬼に消されていくというド定番な設定のスラッシャーホラー。

先月にヒッソリとレンタル開始した作品。レンタル開始日からずっと狙ってたのですが、在庫切れが続いててやっとお取り寄せできました!

大ハサミを手にしたクロプシさんがキャンプに来た若者たちをチョッキンしていくスラッシャーホラー『バーニング』とはもちろん何の関係もありません。むしろこちらの方が製作年が先。フィルマでは1980年とされていますが、IMDbによれば1978年製作で1984年に初リリースされたそう。

1978年製作といえば『ハロウィン』『The Toolbox Murders』と同年。でも長年配給がつかずに1984年に初リリースされたわけだから『13金』や『バーニング』『サマーキャンプ・インフェルノ』等のキャンプ場を舞台にした同種のスラッシャー映画群に影響を与えた・与えられた関係にないという変わった立ち位置の作品ということになるのかな。

ただ、マリオバーヴァの『血みどろの入江』からは影響受けてそうだな〜と思いました。オマージュとは言えないかもだけど、見せ方がかなり似てるところがあって、改めてバーヴァの影響力の大きさを実感しました。

というわけであらすじ…
1948年に地元民の放火のせいで発生した山火事。それにより殺されたジプシーたちの唯一の生き残りの少年が、山奥で誰にも気付かれずにひとり生き続けていた。約30年後の1980年、そこへ若者たちがキャンプにやって来る。お約束通りおっぱじめる若者たちだったが、朝になると1組のカップルが荷物ごと消えており…。

キャンプに来た若者たちと森林警備隊員のイケメン髭面お兄さんがメインキャラになるのですが、驚くほどキャラの深掘りをせずに誰が主役なのかも定まらないままラストまで突き進む少し変わった作風。

そして芋虫や蜘蛛、カエルや蛇などの動物を接写した映像が何度も挿入される。若者たちが入山する際に蜘蛛の巣に絡め取られた蝶の映像を挟み込むのはわかりやすいけど好き。そして殺人鬼目線のカメラが何度も用いられ、殺人対象が近づくにつれ鼓動が激しくなっていったり、動物の中でも捕食者側に該当する蜘蛛や蛇の映像が多くなっていったりとダサくて浅いんだけど、嫌いじゃないです。

冒頭の中年夫婦殺害の演出は、音や観客への思考誘導等に拘りが感じられて良かったんだけど、それ以外はそれほど見どころがないのが残念ですね。ただラストは『サマーキャンプ・インフェルノ』までとは言わないけど、なかなか衝撃的な「声」で幕を閉じます。あとオープニングのサントラがかっこよかったです。
horahuki

horahuki