茜

催淫吸血鬼の茜のレビュー・感想・評価

催淫吸血鬼(1970年製作の映画)
3.6
ジャン・ローランの作品はレンタルやサブスクで観れるものが殆どないですね…勿体ない。

ちょっとエロティックなヴァンパイア映画。
新婚旅行中に従兄弟達の住む古城に立ち寄った夫婦が女吸血鬼に襲われるという、お話としてはごく単純なもの。
柱時計の中から女性がぬーっと出てきたり、ラストの夫の姿が余りにもおマヌけ過ぎたりと、所々に笑えるポイントも有り。

ですが、兎にも角にも映像美は凄まじい。
これはストーリー云々というよりもこの芸術的な映像を楽しむ事に重点を置くべき作品なのかなと思った。
モノクロから始まる冒頭から一転、本編では赤や青の対比が美しいカラー照明というギャップに痺れる。
古い映画の質感と原色の組み合わせって何でこんなに素敵なんだろうなぁ。

美術なんかも素晴らしくって、特にゴシック好きな人なんかたまらないんじゃないのと思う。
退廃的な空気感漂う古城、本で埋め尽くされた部屋、そして何よりかっこいいのが魚が泳ぐ水槽の中に沈められた頭蓋骨!最高!
そんな映像に花を添えるプログレロックもホラー映画との相性バッチリ。

70sホラーの香りをむんむんに感じられて、この時代の雰囲気を味わえるだけでも楽しい。
茜