茜

狂ったメスの茜のレビュー・感想・評価

狂ったメス(1967年製作の映画)
3.4
顔に醜い火傷を負ってしまったモデルの嫁のため、次々と美女を殺しては脳下垂体を手に入れようとするジョンという外科医の話。
ずっと気になってた作品で丁度DVDが安かったから買っちゃいました。

そもそも何で女性の脳下垂体?って誰しもが思う疑問、どういう理屈だか本作の中では人間の脳下垂体を移植すると傷がさっぱり綺麗に治るらしい。
さっぱり意味が分からんのですが、そう言われたらそう思うしかないって無理やり納得させられるような勢いのある映画です。

撮影中の嫁と調子に乗って彼女を脱がせようとするカメラマン→ジョンの嫉妬から感情的になり揉み合いの喧嘩→撮影用のライトが点灯し恋人に直撃。
恋人が顔に火傷を負う原因を作ってしまったのはジョンでもあるというストーリーは、彼が必死で脳下垂体を集めようとする要因として説得力があります。
尚且つ嫁の仕事はモデルという事で、美貌を保つために彼女もどんどん倫理観を失っていくという後の展開にも納得。
細かい部分はツッコミどころこそあるものの、全体的に大まかなストーリーはよく出来ていて自然と納得出来ちゃう感じ。

個人的には忙しないカメラワークやジャジーな雰囲気の音楽も独特の個性が出てて良かった。
ラストシーンはまさに「狂ったメス」で、正直カメラの動きがカオス過ぎて何が起こってんのか分かりにくいんだけど、とにかくハチャメチャ具合は十二分に伝わる。
医者というお堅い仕事で毎日疲労困憊&モデルでパリピの若い嫁に日々タジタジだったジョンが嫁の気持ちに応えようと必死で殺人を犯すという健気さがもたらすラストの哀愁が切ない。
茜