茜

ダークグラスの茜のレビュー・感想・評価

ダークグラス(2021年製作の映画)
4.5
U-NEXTで現在独占配信中という事で鑑賞。
映画館もない田舎者にはいち早く配信してくれる事が本当に有難い。

此処をはじめとしたSNSフォロワーさんの間では賛否両論だった本作。
結果的に言うと私は凄く楽しめたし、アルジェント映画にしては珍しく登場人物に感情移入してしまったり、色んな感情が込み上げてちょっと泣きそうになったりと、だいぶ気持ちの入った鑑賞タイムになった。
あと何と言っても御年82歳となるダリオ・アルジェントが今この時に新作ジャーロを生み出してくれる事に最上級の感謝を贈りたい。
新作には殆ど関心がなく、SNSで流行ってる映画には興味が失せる、捻くれた私の心を「新作」でワクワクさせてくれた事が単純に嬉しい。

娼婦を狙う猟奇殺人犯のターゲットとなり、事故により視力を失った娼婦の女性が本作の主人公。
劇中で彼女の目となるのは同じ事故で両親を失った中国人の男の子と盲導犬。
この二人と一匹の組み合わせは何処かいびつながらも単純に魅力的で面白かったです。
あと主人公を演じる女優さんが私好みの個性的な黒髪美人だったのも楽しめた要因としては大きい、ベアトリス・ダルっぽいミステリアスな雰囲気が好き。
昔に比べて勢いが…という感想も分からなくないけど、彼よりもっと若い監督がどんどん生温く落ち着いてしまう現象も多々ある中で、80代にしてこの切れ味と考えると十分に鋭利ではないかと思う。
オープニングで緑色の景色に佇む真っ赤なワンピースと口紅の主人公という鮮烈なコントラスト、喉を裂き溢れ出す鮮血と覗く断面、そしてラストで無残に喰われる肉。
個人的には求めていたものは与えてもらえたし、観たいものを観せてもらえた満足感は十二分にあった。

これを映画館で堪能出来た人が羨ましいし、想像以上に満足できたからきっとディスクも買う。
私がもし80歳まで生きていたとして、こんなにも人を追い回したり八つ裂きにする気力と想像力が残っているかな。
あと何と言っても本作の主人公は紛れもなく利口で凛々しいワンちゃんである事に間違いないので犬好きは是非観るがよろし。
そういう点でも私はめっちゃくちゃ満足した(U・ᴥ・U)
茜