茜

フィメール・トラブルの茜のレビュー・感想・評価

フィメール・トラブル(1974年製作の映画)
3.8
ディヴァイン演じるハチャメチャ女ドーン・ダベンポートの半生を描く。
ドーンのワル女子高生時代から、両親からのクリスマスプレゼントが気に入らず家出、その後ヒッチハイクの男にレイプされ速攻で子供を出産するという流れのスピード感に笑った。
(レイプする役とされる役を一人二役で演じるディヴァインというのもなかなかにシュール)

ジョン・ウォーターズと言えばやっぱり「ピンク・フラミンゴ」が一番の有名作なんだろうし、えげつないの代表として語られている気もするけど、彼の色んな映画を観る度にそういう下品さばかりクローズアップされるのも勿体ないよなぁという気持ちになる。
彼の映画にはいつも根本に深い愛情があるし、特異な物や特異な人々を包み込むような温かさがある。
本作でもドーンが硫酸をかけられ顔が醜くただれてしまうシーンがあるんだけど、そこで周囲の人間が彼女にかける「あなたはとっても美しい」「これは芸術だよ」等の言葉は監督の本心であると思う。
人々が目を背けるような醜く汚く下品な物に彼独自のシュールな愛情を与える。
「映画」という点で観ると一般的に優れているとは言えないんだろうけど、根っこにあるものが温かい愛情だからこそ、今だにこうしてカルト的な人気を集めて深く愛されるんだろうと思う。

ジョン・ウォーターズの映画はジョン・ウォーターズというジャンルであるよなぁと改めて認識させられるような作品だった。
茜