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ブラザー・ハートのMOCOのレビュー・感想・評価

ブラザー・ハート(2004年製作の映画)
2.0
「お前の命をもらう。だが今じゃない。今晩でもない。
 お前を簡単には殺さない。
来週か来月か、楽しみに待っていろ。
 覚えていろ、ある日ある晩俺は来る」


 末端の中毒患者に薬を売り、日銭を稼ぐデイビー(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、ある夜三人の男に拉致され屈辱的な性交(アナルセックス)をされたことを苦に自宅のバスタブで自殺を図り、訪ねてきた友人ミクサー(ジェイミー・フォアマン)に発見されます。

 デイビーの兄ウィルは町を離れて3年、連絡が途絶えて11カ月になるため誰も連絡をとることは出来ませんでした。

 その頃ウィルは遠く離れた町でシャドーボクシングをする弟デイビーの幻影を見て胸騒ぎを覚え、何度かデイビーに電話を入れるのですが繋がらず、街に戻ってきます。

 ウィルはその昔、仲間のアーニー達と街を牛耳るフランクの一味に対抗するほどの力を持っていたのですが3年前突然抗争から手を引き街を離れ、暴力とは無縁の世界に飛び込んだのです、恋人のヘレン(シャーロット・ランプリング)にも告げることなく・・・。

 ディビーの自殺を知ったウィルは検死報告書に目を通すのですが自殺に結び付く要因が掴めずミクサーとヘレンに協力を求めるのですが、ヘレンの愛から逃げ出していたことからヘレンの協力を得ることはできませんでした。

 やがてウィルは検死報告書には記載されていなかった「凌辱」が自殺の原因と知ります。
 ミキサーは遺品として持ち帰ったディビーの電話の留守録から自殺当日デイビーはパーティーに行っていたことを知り、そこから犯人のボード(マルコム・マクダウェル)にたどり着きます。

 ウィルはアニーからの復帰要請を断り「警察に任せて街を離れなさい」と言うヘレンの言葉も聞かず、スーツで身を固め、倉庫に眠る愛車を駈り、野獣を呼び起こすかのように、復讐のためにボードの自宅へ向かいます。

 ウィルは電話で、仕事を終えたら「一緒に街を出よう」とヘレンを誘います。
 
 ウィルの復帰を怖れるフランクは新たに殺し屋を雇いヘレンの自宅へ差し向けます。

 ウィルはボードから信じられない凌辱の理由を聞き出します。
 レイプ犯にとって「レイプは相手を支配し、相手に屈辱を与えることができる。力の誇示」でしかないのです。デイビーはそんな犠牲者だったのです。
 そしてウィルは・・・。

 ウィルの凄さが全く伝わって来ないためになんの盛り上がりもなく中途半端感満載で終わります。
 室内ロケはアメリカのTVのコメディのホームドラマのような安もん臭い撮影です。
 中途半端感満載といえば、遺品整理でミキサーが隠した札束の行方も分からなければ、ヘレンを人質にしてヘレンの自宅でウィルを待ち受ける殺し屋との対決も描かれてはいません。
 
 レア映画として所持しているために「レビューせねば」という使命感で観たのですが、お馴染みの俳優が出ているにも関わらず、何かにつけて「残念な映画」でした。
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