mimitakoyaki

コントラクト・キラーのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)
4.1
「あれ?英語やん?」と思ったら、舞台はイギリスでした。でも、陰気な感じの事務所やホテルなんか「フィンランドちゃうの〜?」と思ってしまいます。

こちらの主人公もパッとしないスットコドッコイ男なんですね。
本人は大真面目なのにどこかクスッと笑えるようなそんな感じです。

そして、カウリスマキの映画で恋愛は一目惚れっていうパターンが多いように思うのですが、ここでもそうなので、人生に絶望した男が殺し屋に自分を殺してもらうように依頼するためにパブに行くと、そこに現れた美しいマーガレットを見てすぐに恋に落ちるのです(カウリスマキ作品には珍しくなかなか美人です)
そして、すぐにもう死にたくなくなるんです(ナンデヤネン!)

人生の希望は愛なんでしょうね。
孤独に面白くもない人生を過ごしてきた男が初めて恋に落ちて、愛する人ができたっていう事が生きたい気持ちに変えさせていきます。

マーガレットの着てる真っ赤なコートやバラや青や黄色の壁など、色合いにも美しさや鮮やかさが見られるようになってきた作品です。
カウリスマキらしさたっぷりでした。

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2回目: 2022.2.8 DVD

水道局の民営化で真っ先に影響を受けるのが外国人だとか、今あらためて見ると、80年代に吹き荒れたサッチャーによる新自由主義に対する批判も少し感じたりもします。

15年も働いたのに突然理不尽な形で解雇され、最後に労われて渡された袋に入った金時計はタクシー代より安い5ポンドで…、スケジュール帳には何の予定もなくて真っ白だし、絶望して死のうにも失敗するし、男のどん底ぶりはなかなかのものですが、それをユーモラスに描いています。

なんであの小さい吊りフックで、ぶら下がるオッサンの体重に耐えられると思ったのか…。
この男もマジメだがどこか抜けてる人物で憎めません。

水道局のオフィスも食堂もバーも、味も素っ気もない灰色感がすごいのですが、男がマーガレットと出会ってから、少しずつ周りに色が増えていくのも、男の心情を表していて、カウリスマキらしさ溢れる作品でした。

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