great兄やん

キングダムのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

キングダム(1994年製作の映画)
4.7
【一言で言うと】
「王国に宿りし“病巣”」

[あらすじ]
コペンハーゲンの古い洗濯池の跡地に建てられた巨大病院キングダムに、暗黒の呪いがよみがえろうとしていた。スウェーデン人の神経外科医ヘルマーは、些細な理由で部下たちに当たり散らすことに快感を覚えている。医師長メースゴーの息子モッゲはセクシーな看護師に夢中で、メースゴーは“朝の空気運動”に力を入れる。やがて、キングダムに降霊術が趣味のドルッセ夫人が仮病で入院してくる。病院内のエレベーターで少女の泣き声を聞いた彼女は幽霊だと直感し、声の主を探し始めるが...。

最高。280分間ずっとワクワクしながら観れた。最初は自分も慣れているとはいえ久々の4時間超えか…という尻込みもあったが、そんな心配すら帳消しにする程面白かったし突き抜けてクレイジー過ぎてただただビビった笑。流石天下のトリアー監督というか(^◇^;)...ある意味どの監督よりも自由に映画撮ってる感覚が強いですよねこの人笑笑。

それにしてもメルカリで4万円近いDVDを買おうかどうか真剣に悩んでた自分としては、こうやって最新作に合わせて過去作を公開してくれるのは本当に願ったり叶ったりですし、3000円と決して安くはない鑑賞料金とは言えDVDを買おうとしてた値段と比べると格段にお得かつ貴重な機会に巡り会えて本当に感謝しかない。ありがとう!!ラース・フォン・トリアー!!!笑笑

...とまぁこんな感想はさておき、こういった映画特有の各話の短評を頑張って書いていきますね!!

【各評】

《第一話》
「さまよえる少女」
スコア:★★★★☆
ストーリーの超序盤というのもあり内容としての面白さはまだ影を潜めているが、これからの展開を膨らませる“タネ仕掛け”といった意味では非常にワクワクできる回だった。ただそれにしてもキャラの濃さよ(^^;;...出てくる奴らの殆どがマトモじゃないし、程よく暴走しまくってるあの感じがマジで最高でしたね…“朝の空気運動”って何だよマジで笑。

《第二話》
「御国を来たらせたまえ」
スコア:★★★☆☆
ドルッセ夫人の幽霊少女追跡やヘルマーの誤診訴訟の苦悩など前話よりも展開に動きは出たが、全体的な面白さとしてはまだベールに隠された部分が多く、謎が最後まで後を引く回だった。正直全4話の中でも一番退屈に感じた回ではあったが、それでも得体の知れない蠱惑的な要素が常に纏わりつくあの雰囲気が堪らなく良いから最後まで集中して観れる。“朝の空気運動”のシール欲しい(切実)

《第三話》
「異物」
スコア:★★★★☆
前2話と比べると一気に面白さが加速した感があり、保管室のシーンや肝肉腫移植のシーンと何気にハイライトシーンも多く、更にはドルッセ夫人のパートにもさらなる動きが見れたりと、次話に向けた布石としては非常に満足度の高い回だった。正直ここから“キングダム”としての面白さが発揮されていきますし、笑える要素としてもブラックユーモアのスパイスが効いており終始楽しめた。特にヘルマーの”半ミッション・インポッシブル“状態のシーンが一番笑いましたね🤣🤣

《第四話》
「生きる屍」
スコア:★★★★★
最終話にして最も濃厚な”狂気“を感じれる回。終盤の出産シーンはマジでヤバいし、リボルバー乱射にハイチ人ビンタ(?)、厚生大臣と院長の病院視察など、ブッ飛び過ぎて笑える要素も数多く、尚且つ幽霊少女の真相に辿り着こうとするドルッセ夫人をただただ応援したくなる。もはや病人という立場を完全に忘れてはいるが、今はそんなのどうでもいい!!この病院内に潜む謎を頑張って解明してくれ!!ドルッセ夫人!!

【総評】
全体的に見ても不気味な雰囲気とブラックユーモアの要素配分が絶妙で、ツッコミどころは無きにしも非ずといった所だが、トリアー監督だからこそ許されるような破茶滅茶っぷりが本当に面白くて仕方がない。

出てくるキャラクターも病的で人間性のカケラも無いが何故か憎めなかったりと、作中一番のクズ人間ヘルマーでさえ魅力的に感じてしまうキャラ設定も巧みですし、その他錆びついた色調に変則的なカメラワーク、そして予測不能な脚本など、全ての要素が巧妙に組み合わさって出来た、まさに“最強無敵”の作品だと言えよう。

全三部作の第一部目であるため謎は全く解明されず、むしろ風呂敷を広げる形で幕を閉じるが、ある意味第二部が楽しみになってきた😊あの最後から果たしてどう話を繋げるのか期待でしかないし、5時間弱の映画をここまで苦痛に感じさせない映画を観たのは本当に初めてかもしれません😌...


“善も悪もあることを心得よ🤘”