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幸せがおカネで買えるワケの東京キネマのレビュー・感想・評価

幸せがおカネで買えるワケ(2009年製作の映画)
3.5
最近どうも、ネタバレじゃん、とか、ネタバレじゃないよ、とか鬱陶しいなあ、と思っているこの頃、皆様は如何お過ごしでございましょうか。

そもそもですよ、配給会社が用意するイントロダクションでほぼネタバレしていてですよ、素人の書くレヴュー程度でカッカしないでよ、と思うのですよ。あくまで私の勝手な基準ですが、映画には二種類の映画があるのです。ストーリーのある商業映画には全てにです。一つはサスペンス映画、そしてもう一つはスリラー映画です。

サスペンス映画は簡単に言えば筋読み映画です。製作者と観客の知的ゲームのようなもので、あっち行くのかな、こっち行くのかなを楽しむものなので、当然結末が大事。なので、これは結末を言ったらダメです。(とは言っても、結末の読めないような映画はもうないので、正直言えばあんまり関係ないのですが。。。)

スリラー映画は、ある意味フルコース料理のようなもので、一つの決まったフォーマットの中でお話の味付けを楽しむものです。なので、結末が解ったらつまらない、じゃなく、むしろ逆で、結末が解っていた方が楽しい場合もあるのです。簡単に言えばジグソーパズルですよ。最後の1ピースがはまるから楽しいのです。

でね、本作はスリラー映画です。とうに旬を過ぎたデミ・ムーアが出るファミリー・コメディーだったらハッピィエンドに決まっているでしょ。それに、本作のキックオフを見たら、そのハッピィエンドがどういう結末かも分かるでしょ。当たり前田のクラッカーですよ。だからね、普通の結末でつまんないんじゃないんです。普通だから面白いんですよ。それでね、この映画は着想が良いんです。今時の言葉で言えば、インフルエンサー・ビジネスとでも言うんでしょうか、フェイク家族が揃って上流階級の居住エリアに引っ越してきて、それで指定商品を売りまくるというお話なんです。

これ、詐欺じゃないの、と思う方は相当ナイーヴな方で、実際の広告業はもっと下品です。なにしろ、人の良い消費者が多いんでやり放題ですからね、特に日本の場合は。大きな勘違いの一つは、広告費って企業が払っているもんだと思ってたりするでしょ。そんなワケないんですよ、消費者が払っているんです。あくまで広告費ってのは製造原価ですからね。でね、今やテレビ広告は壊滅して、鬱陶しいスパムのようなネット広告ばかりになってしまいましたが、広告が製造原価である限り広告業はなくなることはありません。だから、この家族がやっている広告業ってこれから十分あり得る方法論だと思うんですよ。だって、言っちゃなんだけど、これジャパネット高田のおっさんと同じ商売なんだもん。。。笑
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