東西冷戦下のイギリス。
英国諜報部『サーカス』に紛れこんだ二重スパイを見つけ出すため、引退した老スパイが立ち上がる。
原作は、Ml6に所属していた経歴を持つ作家、ジョン・ル・カレによるスパイ小説。
BBCではドラマ化もされている人気作品だ。
日本公開時のキャッチコピーは、『一度目、あなたを欺く。二度目、真実が見える。』
その言葉通り一度見ただけでは難解で、公開時にはリピーター割引まで実施された。
これについて個人的には、好きで何度も観るならともかく、難解だから二度観てくれというのは如何なものかと思っていた。
しかしその気持ちは一度目の鑑賞で180度変わった。
確かに一度で全てを理解するのは難しい。しかしこの作品にはそれ以外にも映画としての魅力がたくさん詰まっている。
そして作品を観終わった時私は、すぐにでももう一度観たいと思った。
それは、「分からなかったからもう一度観たい」のではなく、「結末を知った上であのシーンを観たい、あの台詞を聞きたい」と感じたからだ。
そして二度目の鑑賞。
一度目で理解しきれなかった部分が見えてきたのはもちろん、映画としての完成度の高さや美しさに改めて魅了された。
作品のつくりも決して難解にしようとしている訳ではなく、映画としての美しさに拘りながら、きちんと観客をナビゲートしてくれている。
そして二度目の鑑賞を終えた時私は、すぐにでももう一度観たいと思っていた。
この作品はリピーター割引なんてしなくても、一度観ればもう一度観たくなる魅力をちゃんと持っている。
むしろそのせいで難解であることばかりが先行して、一度目でも伝わる映画としての魅力を潰してしまっている気がする。
全てを理解できなくても、この作品の魅力は一度目から充分に感じられるので、難解だからと敬遠されている方も是非観てほしい。
邦題も映画の雰囲気に合っていて好き。