マヒロ

さすらいの用心棒/暁のガンマンのマヒロのレビュー・感想・評価

2.5
ある目的から鉱山で働き金を貯めていたハリー(マリオ・アドルフ)は、酒場で出会った流れ者の男ティム(ジュリアーノ・ジェンマ)と意気投合し、銀行に金を預けることを提案される。すっかりその気になりティムの言うことを聞くハリーだが、旅芸人一座と結託していたティムの策略により金を全て持ち逃げされてしまう。怒ったハリーはティムの行方を追うが、その中で同じく彼を追う謎のガンマン集団と遭遇する……というお話。

マカロニウェスタンはド派手なオープニングから始まることが多いが、今作はエンニオ・モリコーネによる哀愁漂うスコアから始まるのが異質。曲のイメージから結構シリアスな話なのかと思ったら、中身は普通のドタバタコメディでずっこけた。モリコーネは天才だけど、曲が単体で出来上がり過ぎていて映画と噛み合わないことがあるのがたまにキズかも。

準主人公であるハリーのキャラクターが良くて、コワモテな外見によらず基本的には善人なんだけど、怒ると手がつけられないタイプで何故か毎回ドアや窓をぶち破りながら突撃してくるのが面白すぎる。こっぴどく騙されてもなんやかんやでティムの言うことを信じてしまうお人好しで、よくここまで生き延びてこれたなと思ってしまう。
主人公であるティムは、そんなハリーを利用しつつある目的を達しようとするマカロニウェスタンらしいしたたかなキャラなんだけど、ハリーがとことん良い奴過ぎるので、ただ善人を騙してるだけの嫌な奴になってしまってるのが気になる。『続・夕陽のガンマン』のブロンディとトゥコみたいに、騙される側もダーティな一面があってやりつやられつという対等な立場になれば良いんだけど、終始ティムが上位にいるのでバディものという感じにならない。ラストも何となく爽やかな雰囲気で〆ようとしているが、結局ティムがとことん迷惑をかけただけで終わっているので、最後まで主人公のことを好きになれないままで終わってしまった。
主人公も腹に一物抱えたキャラクターであるというのがマカロニの面白いところではあるけど、周りの人物設計によってはここまで微妙になってしまうんだなと気付かされた一作だった。ハリーは良かっただけに惜しい。。

(2023.25)
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