great兄やん

シュトロツェクの不思議な旅のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

4.3
【一言で言うと】
「異国での“淘汰”」

[あらすじ]
ベルリンの刑務所から出所したシュトロツェク。彼は娼婦のエーファーとシャイツ老人とともに、アメリカを目指す。ウイスコンシンに到着した三人は移動式住宅をローンで購入、懸命に働く。だが現実は厳しく...。

初ヴェルナー・ヘルツォーク作品。

ヘルツォーク作品の特集上映が組まれたとのことで早速こちらを鑑賞。結論から言うとなかなか面白かった。
どんな映画かも分からずに観たっていうのもあるんだが、にしてもファスビンダーといいこの頃のドイツ映画はどれも救いが無ぇよな(^_^;)...

とにかく主人公シュトロツェクのキャラがマジ唯一無二というか、よくあんな人材を見つけ出せたなというビ○リーチもビックリなレベルの奇人っぷり。
どこかジミー大西のような雰囲気を漂わせながらも売春婦を慰めて彼女にしたり、ピアノやアコーディオンを演奏するなどの掴みどころの無さには一発で強烈な印象に残りますし、特に刑務所の所長に“酒を飲むなよ!”って言われた数秒後にバーでビールを頼む潔さには思わず笑ってしまった🤣

それに温もりを廃した冷ややかな“視線”を映すカメラワーク然り、この頃のドイツ映画にある完膚なき“無情さ”をまじまじと見つめる描写が結構リアルで容赦ないのだが、何故かシュールな笑いを誘われてしまうという不思議な感覚を味わう。

シュトロツェクの佇まいといい物悲しさ満載のシーンでもなんだか笑えてきますし、一緒にアメリカに来たシャイツ老人なんかマジでワケ分かんなすぎて終始ツボった笑
“全部陰謀のせいだ!”っつってショットガン片手に強盗する勢いにも笑いますし、そこから逮捕されるまでがとんでもなく速いのもメチャクチャツボにハマった🤣🤣🤣マジで面白すぎる😂😂😂

とにかくシュトロツェクが目の当たりにする数々の“不運”に、観ているこちらも複雑な感情を抱いてしまうとても奇妙な一本でした。

初ヘルツォーク作品ということで余り彼の“イズム”だとかは理解が及ばなかったけど、個人的にはかなりツボにハマる作品でしたし、また機会があれば観てみたい今作。

ラストシーンの寂れた物悲しさもだし、最後までシュトロツェクが“異国”に馴染めないまま終わるのがなんだかリアルだったなぁ〜😫...