Jaya

マーティン/呪われた吸血少年のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

吸血鬼というか血を吸いたくなる不老の男マーティンのお話。アクロバティックに注射するマーティンが楽しい。ラジオ音声が遅れる演出が凝ってて面白い。

独特のクローブアップを活用したカメラワークとともに、吸血鬼ものとは一線を画したシナリオが面白い。飛んだり跳ねたり一切なし。怪物というよりも疎外され自ら孤立する存在のマーティン。

サンティーニ夫人との関係により、吸血の欲求が抑えられるとともに性衝動が湧き上がるという展開が示唆的で考えさせられます。意味ありそうでやっぱりないけどもしやありそうなカメラワーク。

マーティンの懊悩は強く出されなくとも示され続ける具合が素晴らしい。近付き過ぎると苦しみが増すという普遍的な悲哀。「友達に似たやつがいる」。

吸血鬼という特殊な存在に人間の不可避な苦悩を凝縮させ、独特の表現力でそれを描き出した傑作でした。
Jaya

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