tjZero

恍惚の人のtjZeroのレビュー・感想・評価

恍惚の人(1973年製作の映画)
3.9
妻を亡くしてから精神を病み、認知症状が出てきた老いた男(森繁久彌)と、支える長男一家との葛藤を描く。
個人的にメゲてる時に観たので、余計に落ち込んじゃうんじゃないかと危惧してたけど、出来る事からやるしかないんだな…っていう静かな勇気みたいなモノをもらえた。出来がいい証拠。
子どもに返るってだけなら可愛くていいけど、脳以外は頑健な大人の男性だから、面倒をみるのは過酷。自分も経験があるので、リアルな怖さが身に迫った。よく出来たサスペンスのような味わいもある。
でも、ただしんどいだけの映画じゃなくて、名優森繁さんが時折見せるとぼけたユーモアやホッとさせる表情が救いになってる。
それでいて、”美談”や”きれいごと”にも収まっていないバランスがお見事。
あえてモノクロで撮っているのも生々しくなり過ぎずに抽象化できていて、作品の質を上げている。
半世紀前の作品だけど、現代でこそバリバリ通じる題材だし、古びていない。一気に観れちゃうパワーがある。
tjZero

tjZero