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若者のすべてのmichiのレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
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途中、重すぎて最後まで観られないかと思った。
アラン・ドロンかっこいいとか言ってられない。
少しだけ出てくるCCはセーフティーゾーンにいる奥様のせいか、美しさを放っているのだけど。

イタリア南部の極貧家族が、生活のために長男を頼ってミラノに移住してからの話。母親と5人の息子たちは、良くも悪くもそれぞれキャラクターがはっきりしているも、「家族」としてのつながりは強く、みんなで破滅に向かってしまう様は本当に辛い。

長男は結婚して家庭を持ち、実家のことまではなかなか手が回らない。次男は気持ちが弱くて、ボクサーとして成功しそうなところまでいくものの、楽な方に流されて破滅していく。三男は聖人と呼ばれるほどの寛大さで(聖人はちょっと意味わからん)、故郷への強い思いを抱いたままボクサーとして稼ぐ。四男は真面目で勤勉、唯一安定的な技師の職を得る。五男はまだちびっこ。
みんな、まともな生活を手に入れるチャンスはあったし、それねりに良いところまで行き着くのに、次男シモーネはあと少しのところで甘さが出てしまう。シモーネがはまった娼婦ナディアもそう。三男ロッコと出会ってから人が変わって学校にまで通っていたのに、またシモーネが出てきてから人生が狂ってしまっている。
最後まで貫く意思の強さというか、やりぬく根性というか、そういうものを身につけられるかどうかってどこで差がついてしまうんだろうか。
最後は四男と五男の会話で、ちょっとだけ明るい未来が見えるような終わり。いつか生活が安定して、残った家族みんなで住みよい故郷に戻れると良いね。

ヴィスコンティの貧困層を描いたのネオ・リアリズム的な作品は苦しすぎるので、やはり華美な貴族のドロドロしたやつの方が好きだな。
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