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ベン・ハーのmichiのネタバレレビュー・内容・結末

ベン・ハー(1959年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ずっと昔に観たことがあったものの、長いという印象しかなかった。少しものを知ってから改めて観ると、まあなんとおもしろい!言わずと知れた超大作で、製作もエピソードが多く、Wikipediaで”Production of Ben-Hur”というページが独立してできていました。

ローマ人とユダヤ人の関係が、メッサラとジュダとの確執に凝縮されているから、先々を考えると最初の再会に喜ぶシーンは逆に切ない。そこから仲違いし、無実の罪で囚われて家族を引き裂かれ、奴隷になり、戦車騎士になり…って、チャールトン・ヘストンは結果的に千年おきぐらいのペースで凄まじく苦難の人生を送っている気がする。本作も苦労の連続にムキムキの肉体で立ち向かう姿に目を奪われます。

罪人がガレー船を漕ぐシーンで、オールのテンポを合わせるためにメトロノームのようにハンマーでリズムを刻む人が気になった。漕ぐのも大変だけど、あれも結構大変そう…。漕ぎ手の働きぶりを見るために無意味にテンポ上げさせる司令官、エゲツない。

ひょんな事でジュダが立ち寄ることになるアラブの族長イルデリムの家で、イルデリムが馬たちを自分の子どものように可愛がるところはちょっと笑える。ジュダに自慢の妻たちを見せるのかと思ったら、馬が出てきてうける。とてもいい子でかわいい。

そしてその馬でジュダは戦車競走に出るわけだけど、あのメッサラの戦車ズルすぎでしょー!ドリルみたいなやつ!最終的に鞭で直接攻撃するし、何でもありなんですね。
ルールはよく理解できないレースですが、このシーンは本当にすごい迫力。観ていてものすごく興奮しました。スタントが死んだとか言われているのは都市伝説らしいらしい(Wikipedia情報)けれど、あれは誰かが怪我していてもおかしくないと思う。
何周したかカウントするお魚の装置がかわいかった。

その後は業病の話と、キリストの処刑までの話はちょっと長かった。ジュダの母と妹が業病を患い、自ら「死の谷」に行くという公衆衛生に対する意識の高さと、疫病患者が集まるところにもきちんと食べ物が届けられるという行き届いたシステムができていることに感心した。けど、あのくだり長すぎ。

音楽が前奏曲の一音目からすごい圧で迫ってくる。こんな超大作に対して失礼かもしれないけれど、スコアの存在感がすごすぎて、音楽のバックに映像があるような気がしてしまうシーンもあった。
一つ不思議なのは、クライマックスの戦車競走の音楽は『クオ・ヴァディス』の最後の行進曲の使い回しでは…?もっと派手なアレンジになってはいるけど、なかなか大胆なことするもんですね。余程お気に入りのテーマだったのかな。

これは一度映画館で観てみたい。いつか機会があればいいな。
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