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バットマンのろのレビュー・感想・評価

バットマン(1989年製作の映画)
5.0

「あなたは普通じゃないわ」
「それは世の中もだよ」

5年前に観て以来すっかりご無沙汰だった「バットマン」。
BSプレミアムで放映されていたので久しぶりに観てみました。

なんか前より面白くなってる・・・!?
いやいや、この映画初めてじゃないよね・・・?
ドキッとしてしまうぐらい新鮮で、めちゃくちゃ楽しめました。

ある夜ギャングのボスに裏切られたジャックは、駆け付けたバットマンとの戦いの末、薬品の中へ落ちてしまう。”一度死んだ”彼はジョーカーとして生まれ変わるが・・・

一方、昼は慈善家、夜はバットマンとして悪を裁くウェインは、かつて両親を殺したギャングへの復讐の機会を窺っていた。

「ゴッサムシティ、自然と笑顔になれる街」
黒白ボーダーに白塗りのパントマイマーたちが広場の階段に集まれば、ド派手な殺人ショーが始まる。
突然笑い出したアナウンサーは不気味な笑みを浮かべながら倒れ、テレビからジョーカー化粧品のコマーシャルが流れ出す。
「白い肌に赤い唇、そしてハッピーな笑顔をあなたに!」

ドガのバレリーナにピンクのペンキを塗りたくる。
レンブラントの自画像に赤い手形をペタペタペタ。
蛍光黄緑のペンキがルノワールやフェルメールに襲いかかる・・・。
「この俺が”死”をアートにまで高める。世界初の殺人芸術家だ」

パレードで2000万ドルをバラまくジョーカー。
ひらひらと舞う金に群がる人々。頭上のバルーンから毒ガスが吹き出していることにも気付かずに・・・

安いから高いからを判断基準に使う日用品。
イケてる私は美術館に行く、心動かされるでもなくただ名画だからという理由でそこにあるものを眺める。
空から金が降ってくれば嬉しい。テレビがバットマンを称えるなら、彼は私たちの味方だ。
「君たちは誰を信じる?」と問いかけるジョーカーは人殺しを楽しむというより、何も考えず何も選ばない人々の心に銃を向けているように見える。

ニュース番組がバットマンを取り上げれば、なんであいつばかり!とパンチでテレビを壊す。
「あんなオモチャ俺も欲しい!」「あいつ飛行機も持ってたのか!」
遭遇するたびにバットマンを羨むジョーカーはとても可愛い。そして金や毒でしか人の注意を引けない虚しさに彼自身も気付いていたんじゃないだろうかと思う。

「月夜に悪魔と踊ったことが?」


( ..)φ

Billie Eilish “ all the good girls go to hell “ (いい子にしてた女の子たちはみんな地獄に行く)を聴きながら。

事故で白くなってしまった肌にベージュのファンデーション塗って普通っぽくしようとしてるジョーカーに胸が痛んだ。
「ずっと笑ってるように見えるこの顔だけど、心の中では泣いているんだよ」

パレードの場面で流れるのたぶんプリンスの曲だと思うんだけど、状況と相まってかなり皮肉っぽく聞こえて好きだった。ティムバートンはこの頃からチャリチョコのあの感じだったんだなぁ。


( 2016年3月28日鑑賞時レビュー ↓ )

昨年から観たくて たまらなかったティムバートンのバットマン!やっと観れました〜!

印象的だったのはジョーカーの登場シーン。自分をはめたボスの所へ復讐しに行きます。初めはシルエットだけで なかなか顔が映りません。
「お前にはめられたジャックはもう死んだ。俺はジョーカーだ!」そのセリフとともに顔がパッと映る。黄緑の髪の毛に紫のスーツ、白い顔に真っ赤な唇。そして、笑いしながらボスを撃ち殺します。
ジョーカーの衣装や車の色が毒々しく鮮やかなのが魅力的です。バットマンが黒で割と地味なのに対し(笑)ジョーカーは車やヘリが黄緑と紫のツートン。
衣装だけでなく殺人などのやり方もかなり派手なんですよね。メディアを意識したり、大勢の人を集めたり。バットマンが注目されると対抗意識を燃やすところも面白い。ジョーカーがテレビを乗っ取り、モニターがジョーカーだらけになっている様子には笑ってしまいました。
あと、胸元に付けているユリの花から強酸のような液体が出ることにびっくり。「美しいものには毒がある」という感じでしょうか。

それから、バットマンの車や飛行機。車体からミサイルが出たりするのを観ていると、ショーンコネリーの007を思い出しました(笑)

バットマンよりもジョーカーの方が細かく描かれていて、監督の思い入れが強いのかなぁと思います。

バットマン リターンズに出てくるペンギンもどんなキャラクターなのか楽しみです!
ろ