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ヒズ・ガール・フライデーの和のレビュー・感想・評価

ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)
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スクリューボールコメディと聞いて、何となく和気藹々なものを想像していたが…良い意味で裏切られました。
当時の新聞社を描く映画といえば"地獄の英雄"がありますが、本作はそれに近い。
そして、面白いことにビリーワイルダーも同じ戯曲を元に"フロントページ"を撮っています。

本作のコメディという要素の大きな部分はシニカルな部分にあって、マシンガン会話劇は一部分でしかありません。
そして"地獄の英雄"とは違い、大衆が出てこないことによってシニカルな部分は感じとり難くなっています。個人的にはここが面白い部分。

この映画を動かしているのは映らない大衆であり、新聞社はその需要の為に特ダネをスッパ抜きに動いてるわけです。皮肉にも保険会社の彼もそんな新聞を読む一人であることが、役柄上で何となく分かるようにもなっているというのも面白い所。

主人公たちと同じ視点に立てばドタバタコメディのようにも感じられるけれども、客観して見てしまえば全てが薄汚れた悪人と偽善者とお馬鹿の世界。
そんな泥々の世界を表面上ではスクリュボールコメディとして見せてしまうというのがハワードホークスが巨匠たる所以であるのかなと思います。

そして、現代ではどうしてもノイズになってしまう女性蔑視が蔓延る世界ですが…作り手はそれをも滑稽に捉えているように感じます。実際に"フロントページ"には敏腕女性記者なんてものは出てきません。
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