馬井太郎

ヒズ・ガール・フライデーの馬井太郎のレビュー・感想・評価

ヒズ・ガール・フライデー(1940年製作の映画)
4.0
古い映画に、作られた頃の時代性が多分に反映されていると、理解に苦しむ事が少なくない。そのひとつがこの映画である。そんなときは、専ら、俳優達の演技に注目することにしている。
舞台演劇は、本番まで多くの時間をかけて稽古をするが、映画のシーンでは、その時間は極端に短い。カメラ合わせを含めて2、3回リハーサルしてすぐ即本番となる。
ケイリー・グラントとロザリンド・ラッセルが、この時そのスタイルで撮影していたとしたら、この絶妙な演技が、私には信じられない。それほど、二人のセリフの速さ、掛け合い、リズムが神技なのである。
まして、当時は、現代のようなビジコンなどは無い、フィルムの時代だから、現像してからでないとその写り具合をチェックする事ができない。しかも、それが、長回しなのである。
映画鑑賞に加えて、演技を学ぶものにとっては、貴重な教科書と言える作品である。