ーcoyolyー

リリスのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

リリス(1964年製作の映画)
3.8
ジーン・セバーグのドキュメンタリー(ジーン・セバーグ:アメリカンアクトレス)を観た時にやたら言及される割には当時の日本では観ることが大変難しい映画としてとても印象に残ってたんです、「リリス」。
そしたらアマプラ終了間際作品にしれっといたんです、「リリス」。えっ!?と思って急いで鑑賞しました。

どんなB級カルトムービーなのかと思ってたらとてもしっかりとした作りの隠れたというか隠された名作で往年の忘れられたというか忘れさせられた傑作だった、普通に。キャストもジーン・セバーグ始めウォーレン・ビーティーやピーター・フォンダやジーン・ハックマンなど普通に豪華。ヒッチコックがあんなに売れてなんだこれがこんなに葬られているのだろうと不思議がってたら監督が赤狩り関連でめんどくさいことに巻き込まれてたんだと。あぁ…ってなった。でもヒッチコック持て囃すくらいならこっち持て囃した方がいいよ。ジーン・セバーグの人生というか後半生語る時にやたら「リリス」という単語が出てくるのもわかった。演じた役もそうだし撮った監督からの影響も大きかったんだろうなって。ジーン・セバーグこの後今の時事的にわかりやすくいうなら小林麻耶みたいになっていくんですけど、こういう監督がこれだけのものを撮れるのにマッカーシズムに翻弄されて苦しんで作品のクオリティも高いのに売れなくて困ってるの最前線で目の当たりに来たら思うことも募り募って運動に傾倒していくきっかけの一つにもなるだろうし、彼女自身の聡明さと繊細さがこの役を演じたことでそういう方向に引きずられていってしまうのも私もまたボダ子ではないけど似たタイプの人間なのでわかりすぎるが故に困ってしまう(この当時なんでも精神分裂病こと統合失調症にしてしまうきらいはありますがリリス自体は統合失調症というより今だとボーダーと診断されそうな人でしたね)。

この映画がそのクオリティに見合うヒットができていたならこの作品が遺作となった監督もジーン・セバーグも色々状況変わってたんじゃないだろうかと切なくなる。そろそろこの二人の名誉回復のための伝記映画撮られそうだよね、というかできてほしいね。ジーン・セバーグなんかはもう企画動いてそうだけどね、シアーシャ・ローナンとかクリステン・スチュワート的なポジションの役者が主演で。JLG生きてるうちだと面倒だから亡くなった後にすぐ動くとかなんだろうか。きっと悲しいだけの人じゃないように思うからそういうものを私は観たい。

(追記:すっかりクリステン・スチュワート主演「セバーグ」の存在忘れてました…)
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