教皇選挙のストーリー、いわゆる信仰や信心深い人の中で見識や重んじ方、度量など頂点に近い人たちがディベートをする形式、フィクション、この選挙はバカくさかった。

何をディベートかと思えば、やっぱり権威主張、てっぺんハゲが並んで根比ーべしている間、主人公（委員）の兄が暗殺され悲劇の被害者、神のお導きの前に現実は見ないと。

トムハンクスの「天使と悪魔 」を観賞して教皇を決める”コンクラーベ”のエピソードがなかなか興味深かったので、勢いに乗って本作も観賞。
勿論王道エンタメの「天使と悪魔」とは程遠い地味な作品で全編”コンクラーベ”をピンポイントで描いた密室劇に近いサスペンスフルドラマです。
伯父で後ろ盾でもあった教皇が亡くなり身の危険さえ危うくなった若きスペイン人の枢機卿が主人公。
新たに教皇を決めるには５つの選択肢があります。

①委員会　　１８人の枢機卿会の中から何名かが委員会を組織し教皇を選ぶ

②霊感　　　誰かが神の啓示を受け、ある人物の名前を叫び、枢機卿の３分の２も同じ名前を叫べば決定　　　　　　　　　　　　　　
ちなみに、ハンクスの「天使と悪魔 」でもこの方法が説明されてましたよね。

③崇拝　　　神の光が現れてある人物の足元にひれ伏すように降りてくるのを枢機卿の３分の２も観ていれば決定

④投票　　　枢機卿会の１８人のうち３分の２の投票を得た物が決定

本作では当然のことながらこの投票を選択し、教皇が決まるまでの枢機卿の虚々実々の駆け引きを描いてます。
ちなみに⑤は投票で３分の２の得票を得る該当者がいなかった場合、最多得票を得た者に投票しなかった者が、その最多得票者を承認して３分の２に達すれば決定となります。
まぁ、早い話が④と⑤が本編の内容ですね。

主人公がこの投票するまでの事前工作に巻き込まれ、ある一派に協力することになり、もう一派との壮絶な工作合戦に否応ながら巻き込まれていきます。
教皇になる人物次第では主人公の命も危うくなるので、
まさしく捨て身の覚悟が必要。
彼はどうやってこの苦境を対処していくのかってのがポイントです。
立場上命が危うい背景を深く描いていないんで、いかほどの危険が迫ってるのかが実感として私には理解できませんでした。
そのためサスペンスとし臨場感あるスリルは一切味わえずじまい。世界史が詳しい方はそうでもないんでしょうか？
また、延々投票を巡る人間ドラマを描きながら最後のオチは甚だ作為的で腑に落ちませんでした。
密室劇としても人間ドラマとしても中途半端な感は否めないんですが、普段縁遠いキリスト教のローマ教皇を選出する内幕をほんの少し垣間見たような錯覚を楽しめたんで良しとします(笑)

コンクラーベとは、根比べのことではなくて、
ローマ教皇の選挙のことです。

ダン・ブラウンの「天使と悪魔」を読んだり、
映像化作品を鑑賞したりしたことで興味が湧いたので、
ついでに、見ることにしました。

15世紀のコンクラーベを題材としたものなので、
「天使と悪魔」と直接的な関係はなく、
邦題はバカなジャップが便乗商法的に付けただけと思われます。


1458年に行われた教皇選挙を巡る、多数派工作の裏話。
故教皇の甥っ子で若きカーディナル（枢機卿）の
主人公が巻き込まれるというものです。

曲がりなりにも聖職者達による選挙なので、
オリンピック招致などで思い描くような、
酒池肉林接待などのあからさまなものではないのですが、
それゆえに、権力欲に焦点が絞られ、
むしろ濃密でいやらしい感じになっていてグッドだと思います。

選挙に参加するカーディナルスは18名と少人数で、
100名くらい参加している「天使と悪魔」内での現代のコンクラーベとは大違いです。
現代のものに比べて、様式化が不十分なようで、
壮大さに加えて厳かさにも欠けるかなと感じました。
その分、一票の重さが感じられるものでしたが。

クライマックスとなる最終決定方法は、史実なのか確認できませんが、
明らかに早い者勝ちで公平性に欠けてしまってダメだろと思いました。

冒頭いきなりの主人公のベッドシーンや、女がらみの描写は、
作品としては余計だったと思います。
女優はとても美しく魅力的で良いのですが、
地味な作品なので観客サービスを狙って、取って付けたように思えてしまいました。
人間の欲望というところで絡めているとしても、
うまくバランスが取れていないというか、焦点がぼけてしまうと言うか。
主人公の不在時に、その女にちょっかい出す男とか、それに応じている女とかの、
中途半端に下世話な挿話を、
本筋にどう関連づければ良いのかよくわからずモヤモヤする感じです。
厳かな儀式の裏に渦巻く人間の権力欲に焦点を絞って、押し通して欲しかったですね。


カーディナルの正装も現在とは異なるのですが、
ツバの大きい赤い帽子が厳かさには欠けるものの、
旅人のようで単純に格好いいと思いました。

• #クリストフ・スクルーイ