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ナチスが最も恐れた男のzogliのレビュー・感想・評価

ナチスが最も恐れた男(2008年製作の映画)
2.4
邦題は盛りすぎなので無視
原題は人物名『マックス マヌス』WW2に実在し生存したノルウェーのレジスタンスだとの事

当時のノルウェーのクヴィスリング政権(ナチスドイツの傀儡)から王国を取り戻すきっかけを作ってくれたという解釈なのかなー英雄と言うには地味すぎる
ドイツの敗戦とナチスの崩壊によるノルウェー解放はレジスタンスの、ましてマヌスの功績では無いし、窓から脱出してゲシュタポから逃げのびたのをそんな英雄視するのもどうかと…チェコのアンスロポイド作戦のようにナチス高官暗殺を試みたりしたわけでもないからやってる事は小さいし(まぁ比べるもんでもないけど)

愛国心と反ナチ感情と自らの手で世を変える情熱を持って活動していたけど、ひとりまたひとりと仲間を失って喪失と活動意義とに葛藤する人間ドラマって事ならまぁわかるかも
イギリスで訓練して各国にパラシュートで戻るルートはWW2各国レジスタンスでおなじみだったけど、それにしてもあんなにノルウェーとスウェーデンの国境を行き来してたのはちょっと驚きだった

ノルウェー占領してるドイツ側の描写が意外と細かくて驚いたし、まさかの『怒鳴らない』『人に銃を向けない』『自ら引き鉄を引かない』という近年稀に見る紳士然としたドイツ将校がいてなんだこれは?となってしまった
ドイツ側への配慮なのか、それともジークフリートは史実でも色男で無能なのか?
拷問部屋で葬送行進曲流しながら包帯はぎとってタバコ吸うのを見せつけるだけって、なんだそれ?最後レジスタンスが潜り込んでるの気づいてたっぽいのに見逃すし!あのノルウェー娘に手をつけるやつとかの描写、必要だったのか???

マヌスと将校の2人に見えない絆や敵対心があるならまだしも、ドイツ側がマヌスに執着してるようには全く思えない描写のされ方だったので最後捕らえられて収監された先でジークフリートがマヌスに握手求めるのは結構理解出来なかった

話として面白いわけではないし脚色はされてるけど『歴史を知る資料』としての価値はあったので観て良かった
ストーリーの出来はともかく、作中に大事な言葉はポロポロあって、『レジスタンス活動などするやつはバカか正気じゃないヤツだ、君がそのどちらかなのであれば歓迎しよう』とか、『(徴兵の謳い文句に釣られて)従軍する奴なんて精神異常か失業者のどちらかだ』とか、そのへんはなるほど真理だわーとうなずいた
体制に抗うのは命がけの行為だからそれだけの覚悟が必要で、無駄死にするだけかもしれないがそれでもやろうとするのかって事だし、負けが見える戦争で徴兵して総力戦にしようとするのも無謀以外のなにものでもないしな
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