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ON AIR オンエア 脳・内・感・染のMoviePANDAのレビュー・感想・評価

2.7
『感染イノベーション📻』

いやはや、何とも斬新!何たってこの映画における感染方法は噛まれる事でもなければ、空気でもない。では何だ?というのが本作の見所であり、とっても個性的なところ。この映画、フィルマークスに出会わなければ、間違いなく知る事すらないままボクは一生を終えていたでしょう(笑)

舞台はとある町の小さなラジオ局。スティーヴン·マクハティ演じるマジーはそのローカル局のDJ。結構なおじいですが、これがまたいい声で渋いんです(’-’*)。番組のスタッフは女性ふたり。その内のひとりであるプロデューサーは、マジーのマイペースでしかもちょっと脱線気味なトークにいつもイライラ。

前半は、とにかくその“あまりにも地味な日常”を長々と見せつけられるので、ちょっと退屈しました(((^_^;)ただ、中継に出ているケンの異様な光景の目撃、番組に来たゲストの内のひとりの少女の異変から話はいよいよ動き始めます。

5㎞先の診療所を暴徒が取り囲んでいるという音声での情報。音でしか知る術が無いというその状況こそが怖くて、さらにはその5㎞という微妙な距離感が絶妙。いずれ近付いてくるという事を観ている側にここで植え付けます。

ボクの大好きな『ドーン·オブ·ザ·デッド』でもやはり、銃器店の店主が電話で自分の置かれた状況を伝えてくるシークエンスがあるのですが、この演出はこちらに与える緊迫感としては非常にうまい!見せるよりもその状況を想像して感じる怖さがあります。

暴徒の接近にあわせ、スタジオ内でもいよいよ起こる異変。ここがなかなかのインパクト!全編に言える事ですが、この映画グロさはかなり軽めなんです。感染者が襲いくる場面もしっかり用意されてはいますが、この映画の場合、この置かれた状況とかなり斬新な感染の流れこそが面白いポイント!なので、このある登場人物の感染を確信するシーンこそがボク的にはすごく怖かった!((゚□゚;))

だから、もっとそれを活かした展開が見たかったというのが正直なところ。あの感染した状態の個性的な症状こそ一番怖い!それがもっと観たかった!あと残念な点として、これは伏線になるのだろうという場面がほぼほぼ回収されず… また、そこまでして情報を発信し続ける事がどの程度の重要性なのかがいまいち伝わってこない為、主人公達の行動に必然性を感じられなくなり、後半がやや失速ぎみに感じてしまいました。

ただし、そうは言ってもこの映画の褒めるべき所は、感染ものをイノベーションしたところ!ラジオだからこそ出来た最後の行動と、あるゾンビ映画のラストを彷彿とさせるオチも嫌いじゃないです!突っ込み所は満載ながら、とにかく他に類を見ない斬新な設定は、本当にアイディア賞ものだと思いますよ!( ・∀・)
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